三話 変わる悲劇と恋の蕾
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「それはよかった」
僅かにどもりながら答えるさくらの声を聞いて、悠二は自然とその笑みを深める。まるで、『してやったり』とばかりに。
そんなとき、ふと、さくらはとあることに気づいた。
「悠二君っ!?その目はどうしたの!?」
目の前の少年の青かった瞳には赤く巴模様が浮かんでいることに。
「――ん」
さくらに言われて気づいた悠二が視界に手をかざしてみると、肉体がレントゲンのように透けてみえる。そして、その中に見えるのは青いエネルギーの奔流。
そして、その奔流はおそらく体内に流れている魔力だろうと辺りをつける。
(ああ。これがそうか)
そこでようやく気付いた。これが結衣に押し付けらえた力だということに。とりあえず追々性能の検証はしていくとして、今は目に送っている魔力を封鎖して目を閉じる。
そして、開くと悠二の瞳は本来の青へと戻っていた。
「――魔眼の類?」
「まあ、そうだな」
さくらだって、それぐらいの知識はある。魔眼とは外界からの情報を得る為の物である眼球を、外界に働きかける事が出来るように作り変えた物だ
写輪眼は厳密に言えば魔眼とは違うかもしれないが本当のことを話しても信じてはもらえないだろうと思い、それで誤魔化す。
「写輪眼、僕はそう呼んでいる」
「先天的な魔眼なんて、珍しいね」
「――良いことなんてないがな」
自嘲気味な笑みを浮かべた悠二をみて、さくらは地雷を踏んだ・・・と思った。
「ごめんね、悠二君はその目のせいで……?」
「まあ、な。まあ、この目だけのせいじゃないがな」
誤魔化すのに少々良心が咎めるのか、顔をそむけつつ答える。
そして、話題を変えるためにわざとらしくコホンと咳払いを一つすると
「――とりあえず、俺がこの桜に取り付けたのは出力制限《リミッター》だ。一定以上の出力が出ないようにな。もちろん、この桜の術式の効果範囲は小さくなってしまうが、暴走するデメリットも抑えられる」
「うん」
「だが、それでも応急処置だ。その内、このリミッターだって壊れる時が来る。その時までに解決策を考えるようにしないと末路は変わらん」
「解決策…」
なにか思いつめたような表情を浮かべるさくらに悠二は再びやれやれと肩を竦める。総じて、そんな表情を浮かべる人間のすることは碌でもないと経験的にしっていたからだ。
「おいおい。そんなに思いつめなくても大丈夫だよ、僕の見積もりじゃあと十年くらいは持つ。それだけの処置はしたつもりだ」
「――うん。ありがとう、悠二君」
「どう致しましてだな」
そういって、悠二は自分のしたことに達成感を覚えながら笑うのだった。
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