三話 変わる悲劇と恋の蕾
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、さくらは悠二の予想外すぎる返答にお互い茫然とする。
そんなどこか気の抜けたやり取りに毒気をなくした悠二は腕を振る。するとさくらを縛っていた緑色の鎖は綺麗さっぱり消え去っていく。
「―――とりあえず、案内しろ。約束するよ、それをみてもお前が思っているようなことはしない」
「う、うん」
年齢にそぐわない威圧感に押され、さくらは頷くとおずおずと歩き出すのだった。
*
「―――ここだよ」
さくらが先導し歩くこと数分。二人は桜公園の奥にいた。あれだけあった桜の樹はそこだけすっぽりと空間が空いていた。
そして、その中央に周囲を覆う桜の樹とは比べ物にならない枝垂れ桜の巨木が植えられている。
「―――芳乃、これは・・・」
「うん」
あまりの光景に悠二は目を見開いて驚いている。
当然、この絶景に対しての感動もあるだろう。だが、悠二が驚いているのはそれだけではない。
「マジかよ…」
長年の経験でしみついた癖で解析をかけたところ、幾つかのプロテクトを挟んで桜の正体が把握できた。そして、つい呟いてしまうぐらい驚愕した。
(此奴は、固有結界を生み出しているのか…。いや、むしろ…)
自分の心象風景を具現化させる固有結界を一瞬、想起するが思い直す。そちらより、むしろ近しいものを悠二は知っていた。
そして、隣で義之と話しているさくらに視線を移す。
「芳乃」
「――その様子だとこの桜のことをわかっちゃったみたいだね」
「ああ。粗方調べさせてもらった。しかし…」
「うん」
悠二が二の句を紡ぐ前にさくらは重々しい表情で頷いて悠二の推論が正しいことを証明する。
桜はたしかに理論は正しいし、おそらくこのまま想いをため続ければさくらが願っているような効力は発揮するだろう。
だが、おそらくいつの日か暴走する。
力が強すぎる。その力を樹自体が制御しきれていないところがある。そうなれば、きっと彼女が望んではいないような結果を生むだろう。
「――ふむ」
腕を組んで考える。
理論自体は間違ってないし、そのためのデバイスもちゃんと機能している。どこが間違っているのだ?
たっぷり数十秒。頭をフル回転して考えるがどうにも穴が見つからない。
「悠二くん・・・??」
「―――仕方ないか」
ハアとため息を一つ吐き出すとさくらを方に向き直る。
「――芳乃」
「なに?」
「――悪いが少々、応急処置をさせてもらうぞ。暴走しないようにな」
いますぐに問題をなんとかしようとすることは無理だったが、問題の表面化を先送りにする程度は悠二にもできた。
なぜ見ず知らずの彼女にそんなことをするのか?と自問してみれば返っ
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