第七十話 ネリー=リバイラル
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った場所に向かった。するとそこには一軒の小屋があった。ネリーのあの小屋である。
「ここだ」
タダナオは吹雪の中下にかろうじて見える小屋を指差した。
「行くか」
「ああ」
三人は降り立った。そして吹雪の中苦労して進みながら小屋の扉を叩いた。
「はい」
すぐにネリーが出て来た。見れば中に勇もいた。
「勇、無事だったんだね」
「ヒメ」
勇はヒメの姿を認めて声をあげた。
「よかった、心配したんだよ」
「済まない、遭難してしまって」
「何だ、ヒメの言った通りだったな」
タダナオはそれを聞いて思わず笑ってしまった。
「言った通りって何だよ」
「いや、実はヒメはあんたが道に迷ったんじゃないかって言ってたんだ」
彼は笑ったまま勇にそう説明する。
「そしてそれが本当だったからな。ついおかしくてな」
「そんなにおかしいかな」
「ちょっとな。まあ無事で何よりだ」
「すぐにロンド=ベルに戻るか」
「待って下さい」
オザワがこう言ったところでネリーが声をかけてきた。
「今は止めて下さい」
「またどうして」
「外は吹雪ですし。それに彼もあのブレンも怪我をしていますから」
「怪我を」
「はい、ですから今は休ませて下さい」
「休むといってもな」
だがオザワはそれを聞いて困った顔をした。
「こちらの事情もあるし。どうする?」
「ユウ=ブレンはダメージを受けているんだな」
「はい」
ネリーはタダナオの問いに頷いた。
「少しですが」
「それじゃあどのみちこの吹雪の中じゃ無理だ。無理はしない方がいい」
タダナオはそれを聞いてこう述べた。
「今日はいい。一応連絡は入れておくがな」
「はい、それがいいと思います」
ネリーはそれを聞いて頷いた。
「今はここで休んで下さい。そして英気を養われるといいです」
「了解。それじゃあマシンに戻るか」
「いえ、小屋の中の方がいいかと。外は吹雪ですし」
「いや、しかし」
オザワはそれを聞いて躊躇いを禁じ得なかった。流石に女性がいる部屋で同室というのは抵抗があったからだ。
「私は構いませんから。寝袋もありますし」
「そうですか」
「そういうことなら」
「はい、どうぞ一泊していって下さい」
「わかりました」
こうしてタダナオ達はネリーの小屋に一泊することとなった。彼等はその間に本隊に勇の無事と居場所を伝えた。そして
この日は休んだのであった。
翌朝目が覚めると小屋の中にネリーはいなかった。勇達はそれに気付くとすぐに小屋の外に出た。
すると外に彼女がいた。ブレンに乗って凍てついた湖の上を滑っていたのであった。
「あれはネリーの・・・・・・」
勇はそれを見て呟いた。
「あのブレン、ああしたことが好きなんだ」
「何か不思議な光景だな」
タダナオがそれを見て言う。
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