二話 桜とさくら
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
然なんの前置きもなく、そのことを言われて困惑する少年。そんな彼に少女はどこか嬉しそうに笑みを浮かべていう。
「君の名前だよ♪」
「・・うん」
言われてやっとわかったのか少年…義之は咀嚼するようにしっかりと頷いた。
その笑顔を見て、少女の胸が暖かくなるのを感じて、さらに笑みを深めた。
(ああ、やっとボクにも……」
自分にも待っていてくれる家族ができた。そんな喜びにいつしか少女の表情には本物の笑みが浮かんでいた。
だが、同時にそれは喪失の恐怖を少女の中に否応なく刻み込んでいた。
「っ!?」
突然、少女の神経にザラザラと不快感に満ちた感覚が走る。そして、その意味を感じ取った少女は驚愕を顔に浮かべ、辺りを見回す。だが、それらしき姿はない。
「ごめんね、ちょっと待っててね」
「うん」
すぐに頷いてくれた義之に対して笑みを浮かべていうと、すぐさまその人影のところへと向かう。
距離的にはそこまで遠くない。走ればすぐの位置だ。
「たしか、この辺・・・っ!?」
そして、少女は見つけた。それと同時に驚きを隠せなかった。
「子供!?」
そう、そこにいたのはコートを来た少年だったのだから。身長は140pくらいで黒いダークスーツとロングコートを着ている金色の髪をした男の子。
ビクッと反応すると、見失うほどの速度で振り向く。そして、懐からなにかを取り出そうとするが
「ッ!?」
そのまま、まるで彼の周りの時間が止まってしまったかのように固まってしまった。
「……」
そして、対する少女も自分と同じ青い彼の瞳と目があった瞬間、まるで引き込まれるような錯覚を覚えてしまう。
そしてそれと同時に思った。
(なんで、そんな寂しそうな瞳をしているんだろう……)
*
それから、少し時は遡る。
少女がいた場所から数メートル離れた桜の森の中に彼は居た。
樹にもたれ掛り、眠っているかのようだったが
「どこだ…、ここは…」
すぐに目を開けて状況を把握しようと辺りを見渡す。
「桜?」
そして、一番初めに目に入ったのは目に入るのは自分の身長を超えるほどに大きく、花を満開に咲かせた桜の樹。しかも、一つではなく複数。
こんな桃源郷とでも形容されそうな場所は彼の人生の中で一度足りとてない。どうやらここが彼女の言っていた転生先の世界ということらしいと辺りをつけてたちあがると違和感を感じる。
「――嫌に目線が小さいな」
感じた違和感の正体は目線。いまの目線が明らかに違っていたからだ。次いで、自分の体を見るとその原因がはっきりした。
「―――これじゃ小学生ぐらいだな。ったく、どうりで桜が大きく見
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ