ALO編
七十三話 兄、弟、妹(リョウ、カズ、スグ)
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良かったとは言えねぇけど、俺も彼奴も幸運な事にお前と従兄で、だからお前の兄貴になれた。ならせてもらえた。これでもな、感謝してんだぜ?」
涼人は語る。互いに両親を失った二人を兄として、引き合わせてくれた大切な妹に、慈しむように笑いながら。
「俺にとっちゃ、お前は大事な妹分だ、泣かしたままになんぞしときたかねぇ。彼奴も、多分同じ気持ちだ。メンタルなら、SAO《あっち》で散々鍛えられた。多少きつい言葉も受け止めてやれる。だから……」
「…………」
「言いてぇ事があるなら、正面切ってはっきり言ってこい。伝えてぇなら……どんな形でも伝えようとしてみろ。そいつを受け止めるのが俺ら……今回は、キリトの仕事で、それでお前がスッキリすんなら……俺たちにとっちゃ、安い買い物だ」
「……うん」
ニッと笑って、軽口調子に放たれた言葉だったがそれでも、直葉は布団の中で一つ。コクリとうなずいた。
────
「さてさて……んじゃまぁどんな感じか見に行くとしますかね……」
それから少ししてからALOに入ったリョウは、周囲を見渡す。と、ドーム前広場の端にあるベンチの近くに、見覚えのある後ろ姿が見えた。
「ん?よぉ、レコンじゃねぇか!?何してんだ?」
「え?あ、リョウさん!」
振り向いた黄緑色の髪の少年は、リョウを見て驚いたように口を開けている。
「いや、なんかリーファちゃんに会ったんですけど……此処で待ってろー。って言ってあっちに飛んで行っちゃって」
「へぇ…………なんだ、追いかけねぇの?」
「いやぁ、リーファちゃんが付いてきたら殴るって……」
後ろ手に頭を掻きながらあはは。と言って笑うレコンに、リョウは何となく悪戯心を刺激される。
「んなもん、見えねぇあれ使えば良いだろ?アルンの北のテラスに居るから、見て来いよ」
「え、で、でもその……」
「まぁまぁ。俺が擁護してやるからよ。上手くいきゃ、すげぇデュエルが見れるかもしんねぇぞ?」
「え、で、デュエルですか?」
疑問そうに首をかしげるレコンに向かって、リョウはにやりと笑って頷く。
「あぁ。かなりハイレベルな奴だ。多分な。俺少し遅れてから行くからよ、レコン見て来いよ」
「じ、じゃあ……」
何となくいまだに腰が引けていたが、レコンはそれ以上何もいわずに、北のテラスへと飛び去って行った。
その後少しだけ用事を済ませて、リョウも北テラスに向かった。
────
それはまるで二つの流星のぶつかり合いだった。
空中を流れるように行き交う緑と灰の光は、一度ぶつかるとギィンッ!と言う金属質な音を立てて跳ね返るように離れ、また別の軌道を描いてぶつかる。唯それの繰返しであるはずなのにもかかわらず、レコンには、それが途方も無く美しく見えた。
憧れた。眼
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