ALO編
七十三話 兄、弟、妹(リョウ、カズ、スグ)
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てくれてたんじゃないかって……そう思うんだ」
「かもな。彼奴、ネトゲどころか普通のゲームもあんまやる奴じゃなかったし……」
「うん……スグはスグなりに、俺と必死に向き合ってくれようとしてたのに、俺はスグの方を向こうともしなくて……リーファとしても、彼奴は俺達の事助けてくれてたのに……俺、アスナの事で頭いっぱいになっちゃって、リーファともスグとも、ちゃんと正面から向き合ってなかったんだよな……」
そこまで言って、和人はすっ……と黙った。その瞳には決意の光が見て取れ、涼人はそれを見てにやりと笑う。
「へぇ、そうかそうか……」
「ん……?」
和人は、いぶかしげに眉をひそめるが涼人は笑い顔を崩さない。
「何だよ。どうするかなんざ、何も言わなくてもお前の中で結論出てるじゃねぇか?」
「ん……まぁ、な。言葉で足りなきゃ……手を伸ばせ」
「手が弾かれたら剣を抜け。ってなぁ、あっちじゃ鉄則だったからな」
続けられた涼人の言葉に勇気づけられたのか、和人は二ヤッと笑う。それをみてニヤリと返すと、涼人は先に立ちあがり、言った。
「んじゃまぁ、俺は伝言役に回るとしますか……」
「え……」
「いくら伝える事が決まろうが、スグがやる前に逃げちまったら意味ねぇだろ?ま、ちょいと用事有るってだけつたえてくらぁ」
「あぁ……頼む」
和人のその言葉と同時に、涼人はもう一つ、マグカップを食器棚から取り出した。
────
「スグ、入っていいか?」
答えは無い。が、待っていると時間を喰うだけなので、あまり良いことではないと分かりつつも、涼人はゆっくりドアを開け、部屋の中へと踏み込む。
部屋のベットの上には、スグが背中を丸め、まるで何かに怯えるように肩を震わせていた。
「……スグ」
有る程度はやさしめに声を掛けたつもりだったのだが、それだけで直葉はビクッと肩を震わせる。家の従妹はこんなに臆病な少女だっただろうか……?
「取り合えず……此処にココア置いとく。身体が冷えてるならあったかい内に飲め。後伝言だ。キリトがアルンの北側のテラスで待ってるとよ。それとな……」
涼人は続ける。続く言葉で、きっと彼女なら結論を出せると信じて……
「どう転んでも、お前と俺達は同じ家に住んでる家族で、兄妹だ。お前の気持ちにとっちゃ邪魔だったのかも知んねぇけどよ……その事、よく考えてくれよ、な?」
「邪魔だなんて……!」
そのまま立ち去ろうとした涼人に、後ろから声がかかった。
「……そんな風に、思った事、ない……」
「……あのな、スグ、お前のお蔭だ」
それは泣きはらし、かすれたようなほんの小さな声だったが、涼人の耳には確かに届き、だから、答えられた。
「え……?」
「和人の家の事も、俺の親の事も、世辞にも運が
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