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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十三話 兄、弟、妹(リョウ、カズ、スグ)
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えばそうでもない。何故な和人が自分が桐ケ谷家の本当の子供ではない事に、個性登録の住基ネットの戸籍に抹消記録が有る事からに気づいたのは、ほんの十歳の頃だったのだ。どちらかと言えば、直葉を遠ざけて居たのは何となくと言う部分と、もう一つの要素が大きい。

 あの頃からSAOにかけての和人は、人に対するときの距離感と言うのが、何故だか良く分からなくなってしまったのだ。
特に外的なショックが有った故では無い。和人の今の両親は和人がそれに気づいても特に態度を変えることなく和人の事を慈しみ、愛してくれたし、それ以外の要素も和人の周囲で何かが変わったかと言えば、全く無きも変わりはしなかったからだ。

 変わったとしたら、それは和人自身の方だ。
あの頃の和人は、人と相対した時必ず小さな、それでいてとても強い疑問を、胸の内に抱くようになった。それは、「この人は一体誰なんだろう?」と言う、一つの疑問。たとえ家族や親類、どんなに長く付き合った相手であっても、それはわきあがった。この人は本当は誰なのだ?自分は果たしてこの人の事を本当に知っているのか?と。
 その疑問は、和人の中で他人との間に一つの見えない壁を作った。意図せずして、否、あるいは意図的に、和人は人と折に触れて接するようになってしまったのだ。

 それは、和人がネットゲームに向かう一つの理由であるとも言えた。なぜなら和人にとっては、その環境がとても居心地が良かったのだ。
画面に見える仲間や友人は、あくまでもそこにいるだけのキャラクター。偽りの姿が外面で、異なる内面が居ること自体が当然の、身代わり(アバター)なのだから。
だからこそこの少年は、小学校高学年の頃からネットゲームにはまり出し、やがて幽閉させることになるあの世界へと向かったのだ。

 しかし、そんな彼を現実《リアル》の中でぶち破った人間もまた、彼には居た。
桐ケ谷涼人だ。和人が小六の夏に桐ケ谷家に住む事になった涼人は、暇さえあれば和人や直葉を構っていた。
まぁと言うのも、本人曰く唯の暇つぶしらしいのだが。
しかしいずれにせよそれによって、本来兄妹間の仲は余り良くなかった直葉、和人それぞれと、涼人はある程度以上に仲を深めていた。

 そんな涼人が来てから丁度二年。SAOに突入するその歳の夏。和人が中学二年生の頃だったか。
急に、涼人が、こんなことを言いだしたのだ。

『おいカズ、アキバ行こうぜ』
『……なんだって?』
『アキバだアキバ。ほれ、行こうぜ……』
『ちょ、え?なんで行き成り……』
『お前の自作。あれいい加減旧式だろうが、改造しようぜ。ちっとハードの方に興味が出てきた。解説プリーズ』
『え、せ、セーブするから待ってくれ!』
 とまぁこんな感じで、時折和人は涼人に無理矢理連れ出された。
 和人は、六歳のこ
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