ALO編
七十三話 兄、弟、妹(リョウ、カズ、スグ)
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なったのは、ずっとずっと前からそれを知ってて……あたしが本当の妹じゃないって知ってたからでしょ!?なら……ならなんで今更こんなに優しくするのよ!!」
最早止まる気配はない。否……彼女自身、止まれないのだろう。こうなってしまうと、最早体や口を動かすのは理性では無く感情と衝動だからだ。
「あたし……お兄ちゃん達がSAOから戻って来てくれて嬉しかったし、お兄ちゃんが小さい頃に戻ったみたいに仲良くしてくれたことも、凄く嬉しかった……あたしの事、やっとちゃんと見てくれたんだって思えたんだよ……でも!」
最早直葉の言葉は止まらない感情の波に押しつぶされる悲痛な物にしか聞こえなかった。しかし止めようにも、今しゃしゃり出たところで、何か出来るとも思えない。
「でも……こんな事になるなら冷たくされたままの方が良かったよ……そうしたら、お兄ちゃんが好きだって気づくことも無かったし、アスナさんの事知って悲しくなることも無かった……お兄ちゃんの代わりにキリト君の事好きになる事も、無かったのに!!」
そこまで言って、直葉の言葉は途切れた。
和人が小さく……呟くように言う。
「ごめんな……」
「……もう、放っておいて」
それで、会話は終わりだった。
バタン!と言うドアを閉める荒い音が響き、廊下に静寂が戻る。そのタイミングになってやっと、涼人は廊下の外へと出た。直葉の部屋のドアに、もたれかかるように力無く座り込んだ和人が首だけ回して此方を見る。
「リョウ兄……」
「……とりあえず、下行ってなんか飲むか?」
少し溜息気味に言った涼人の発言に、和人は若干驚いたようで、同時に少し迷ったようだったが、やがて小さく、首を縦に振った。
────
「さて……」
「…………」
一階に降りた二人。取り合えず和人は食堂のテーブルに座り、キッチンに引っ込んだ涼人がココアを二人分机に置くと、黙り込む。
先に口を開いたのは、和人だった。
「その……取り合えず、ごめん。さっきは勝手にイラついて、キレたりして……」
「んにゃ。そりゃ俺も責任有りだ。ちっとお前の焦りに無頓着だったな。わりい……ま、その件は手打ちにしようぜ今は……」
もっと重要な事が出来ちまった。と言って、涼人は二階の直葉の部屋が合ろう方向を仰ぎ見る。
「スグにゃ、悪かったな……気づいてやれなんだ」
「いや、兄貴は悪くないさ。俺の方が、気づいてあげなきゃいけなかったんだ……」
「お前が好き……か。二年出かけてる内に、すっかり成長してやがったんだな……」
「…………」
和人は考えていた。
直葉は自分が本当の妹ではないから和人が直葉を遠ざけていたと言った。
はっきり言ってしまえば、それはおおむね正しい。しかしだからと言って明確な意思の元にそれを行ったかと言
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