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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十二話 焦燥の衝動
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って必死に突進しようとするキリトと、それを引きとめるリーファの姿が見えた。おそらく、あそこが障壁の寸前なのだろう。会話も聞こえる。

「やめて、キリト君!無理だよ、そこから先には行けないんだよ!」
「行かなきゃ……行かなきゃいけないんだ!」
何かに取りつかれたキリトを、リーファは必死に腕を掴み、キリトを止める。先程よりかは幾らか近くに見えているが、それでもまだ放射状に広がった枝は遥か高くに見えるだけだ。

「やれやれ……ほら!ちょい待て待て!」
キリトと障壁の間に割り込むように止まって両手を突き出すと、キリトはようやく突進しようとする勢いを止めた。が、迫力も焦燥感も変わっていない。

「ちっとは落ち着け、な?」
「落ち着けるわけ……無いだろ!!」
「だったらお前にはんな鼻息荒くして闇雲に突っ込んで、状況が進展する当てがあんのか?」
「ぐ……!」
あくまでも正論を述べるリョウに、キリトの勢いが詰まる。

「どうせやるなら実になる事しようぜ。少なくとも、敗れるかも分からんもんに突っ込むよりは有意義だろ?」
「キリト君……」
「…………ごめん」
落ち込んだようにいきり立っていた肩を落とすと、キリトは俯いた。その頭を、ポンポンッと撫で、リョウは言う。

「気持ちはわかんねぇでもねぇよ。けど、今は冷静になれ。良いな?」
「あぁ……」
「よし。さて……ユイ坊!」
「あ、はい!」
リョウの声に反応し、心配そうにキリトの顔を覗き込んでいたユイが、胸ポケットから飛び出し、障壁のあるのだろう方向へ向かっていく。まずはシステム属性のあるナビゲーションピクシーであるユイに試してみる事にしたのだ。
しかし、突然ユイの前にうっすらと虹色に輝く光の障壁が現れ、その小さな体を拒んだ。

「むぅ……」
リョウは小さくうなった。これでも駄目か。ならば次はどうするか……と、急にユイが声を上げた。

「警告モードの音声なら、届くかも知れません……ママ!私です!ママー!」
必死の面持ちでユイは叫ぶ。それをしばらくの間続けていたが、やがて諦めたのかしゅんとなってキリトの胸ポケットの中へと戻った。

「まぁ、反応返すにもなんか落とすくれぇしか出来ねぇだろうからな……んじゃそれを期待して、落ちて来るまでにもうひと押ししてみますか……」
そう言って、今度はリョウがアクションを起こした。と言っても、冷裂を取りだしただけだが。

「ちっと下がってろよ御二人さん」
「あ、あぁ……」
「え……?」
二人を下がらせ、自分も少々距離を取って冷裂を腰だめに構える。そうして一気にしょうへきに接近すると……

「おっ……羅ァッ!!」
思いっきり、障壁に向かって冷裂をふるった。直ぐに見えない磁石のごとき斥力が働き、刃を押し戻そうとする……が……
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