ALO編
七十二話 焦燥の衝動
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界樹……」
「っはぁ……大したもんだ」
「うん……凄いね」
全員が、一瞬思考を止めてその圧倒的な姿に見入ってしまった。初めに思考を回復させたキリトが、リーファに確認する。
「確か、あの木の上にも街が有って……それで……」
「そこには妖精王オベイロンと、光の妖精アルフが住んでいる。妖精王に初めに謁見出来た種族はアルフに転生して、永遠の空を手に入れる……って言われてるわ」
「成程……あの上に、ねぇ……」
「…………」
リョウは何かを考え込むように顎に煙を吐きながら黙りこみ、キリトは無言で気を見つめる。
「あの樹には、外側からは登れないのか?」
「幹の周囲は進入禁止エリアになってるから、木登りは無理らしいわ飛ぶにしても、とても上まで行けないうちに、翅に限界が来ちゃうんだって」
「前に聞いた多段式ロケット方も、GMから修正入っちまったとよ。今は雲の上に障壁が有るんだと」
「そうか……とりあえず、木の近くまで行ってみようぜ」
「おうよ」
「そうね」
そうして、三人はアルンの大通りを歩き出した。
────
しばらく行くと、前方に石段と白いゲートが見え始めた。だいぶ近づいたせいで全貌が見えず、世界樹はもはや巨大な壁だ。
そうしてそのままやたらと豪華そうなゲートをくぐろうとした……その時だった。
突然、ユイがキリトの胸ポケットから顔を出し、まっすぐに、上を見つめ出したのだ。それを見たキリトが、戸惑ったような声を上げる。
「お、おい……どうしたんだ?」
それにユイが答えるより早く、今度はリョウが口を開いた。
「……居るんだな?」
「え……」
呟いた小さな言葉は、誰のものだっただろうか?ユイ、キリト、おそらくは事情の呑み込めて居ないであろうリーファも、驚いたようにリョウを見る。
「ユイ坊……母ちゃんだな?この上か……?」
「ユイ!?」
「は、はい!このまっすぐ上空に……ママが居ます!」
「ッ……!!」
聞いた瞬間、キリトは凄まじい形相で上空を仰ぎ見る。顔を蒼白にし、しかし目は炎の如く燃え盛り、強く歯ぎしりをしたかと思った瞬間……
──……ズバァン!!──
一瞬で羽根を広げた彼は、空間そのものを爆発させるかのような凄まじい音と共にさながら漆黒の弾丸の如く、上空へと飛び上がった。……止める間も無かった。
「き、キリト君……!?」
「はぁ……」
驚くリーファの横で、リョウは額に手を当てながら深くため息をつく。分かってはいたが……障壁が有ると言っているのに……
リーファは一瞬リョウと上空を見比べ、迷ったようだったが、リョウが一言「行ってやれ」と言うとすぐに上空へと飛び上がる。直ぐに、リョウもそれなりの速度で上空へと上がってく。上空高くの雲を抜け、十秒もすると、前方に空に向か
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