ALO編
閑話 それぞれの見る彼女
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っとこの顔を見てきた。何も変わらない……否。娘が痩せていく事が、唯一の変化か……
「今日も良く寝てるわ……」
「だな……」
しばらくの間美幸の顔を眺めていた二人だったが、やがて真理が顔を上げた。
「あ、涼人、お昼ちゃんと食べた?まだならお金出してあげようか?」
「だ、大丈夫だって!いきなり過ぎっつーか……んな小学生じゃないんだから……」
「あら?私やおばあちゃん達にしてみたらまだまだ涼人も美幸も子供よ?」
「勘弁してくれよ……ちゃんと食ったよ。御心配無く。ったく姉貴いいおばちゃんといい……」
「あ、玲奈ちゃんは?元気なの?」
「たまに電話で話すけど、死ぬほど元気。近いうちこっちに一時帰国するっつってた」
「あ、じゃあ日時決まったら教えてね?余裕あれば会いに行くから」
「へい、わかりやした……」
ほおを掻きながら涼人は生返事を返す。実を言うと、リョウが押されるのは大体涼人を小さい頃から知っている人が多い。
美幸、真理、怜奈はその代表格なのだ。
「んじゃ、俺そろそろ帰るわ」
「あら、もう?急ぐの?」
「あぁ、ちょっと予定が有るんだよな……そいじゃ」
「えぇ」
小さく頭を下げて出て行った涼人を、軽く手を振りながら見送った真理は……急ぎ足の足音が完全に去ったのを確認してから、娘の髪を優しくすく。
「美幸……早く、起きなさい?じゃないと涼人、どんどん先に行っちゃうわよ?」
言葉など、届くはずもない。しかしどうしても、彼女は娘に声をかけずにいられなかった。
────
帰宅した涼人は、シャワーもそこそこに二階へと上がり、首をぽきぽきと鳴らしながら部屋に入る。ベットの横にある机の下の引き出しを開くと、そこには接続済みのナーヴギアが入っていた。胸元まで持ち上げたそれを、頭にかぶり……
「っ……」
突然、体がグラついた。
『っち……』
一瞬だけバランス感覚を失った体を、直ぐに立て直し、地面にしっかりと足を踏ん張る。
少し息をついてからベットに座り込むと、今度こそ、しっかりとそれを頭にかぶった。
『もうちょいだ……もうちょいで着く……』
昨日の時点で、既に世界樹は目の前にある。あれの上に上がる事が出来れば……そうすれば、全てが終わる……かもしれない。だから……
「ふぅ……行くぜ……」
大きく息をつき……
「リンクスタート」
涼人は再び、妖精の世界へと飛び立った。
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