ALO編
七十一話 Negotiation
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「…………」
黙り込んだウンディーネのスカウトを、リョウは暫くの間無言で見つめる。やがて彼は一つ大きな溜息を吐くと、言った。
「さっきあんたのこと唯一まともな奴だと思ったんだが、とんだ間違いだったらしい……」
浮かべた苦笑は、諦めと呆れの光を、瞳に色濃く浮かべていた。
「アンタが一番イカレてる」
「光栄だ」
返す笑顔はニヤリと不敵なそれだった。
────
「はぁ……やれやれ……」
あの後、慎重に物の受け渡しを行い、ウンディーネ達が去っていた東の方向を見ながら、リョウは大きくため息をつく。
「あ、あの、リョウ……」
「兄貴……」
「言っとくが!」
「っ……!」
リーファとキリトがおずおずとリョウの背中に近づいて行った時突然リョウが大声を上げた。振り向く事無く、リョウは続ける。
「いくら勝手にやったっつっても、今回ばっかりは無償じゃねぇからな。金は、お前ら二人稼いで、せめて半分くらいはちゃんと返せよ?」
「……え、えぇ……」
「あぁ……」
「それとな、リーファ」
「え……?」
突然リーファに話を振ったリョウに、リーファは驚いたように向き直る。まだ、振り向いてはいない。
「おめぇがコイツを守ってやりたいと思った理由は、まぁわからねえでもねぇさ。大方この世界がもう一個の現実だー。って感じられるように成ってきて、ならこいつは本当に友達で、だから殺して欲しくねぇってとこだろ?」
?」
「う、うん……」
頷いたリーファは、だんだん自分の頭が俯いているのを自覚し始めた。
「その精神は理解してやっても良いぜ?そう言う優しさってのは場合こそあれ大事なもんだし、美点だからな。けどな、世渡りってなぁそう甘くはねぇ。俺もガキだから大層なこたぁ言えねぇが、代償も無しにただ『自分にとっちゃ大事なんで譲って』なんざ、どこの世界行ったって通じやしねぇんだよ。もしも仮にこの世界が本物の妖精の世界だったとしても、世の中そうそう上手くは回らねえ。現実的《リアル》な人付き合いってのはどこの世界にもあるからな」
「…………」
言い返さず、俯くリーファに、リョウはさらに続ける。
「お前がこの世界にどう都合の良い想像や倫理観、正義感を持ち込もうが勝手だがな、忘れんなよ?世界とか世の中ってなぁテメェに合わせて動く訳じゃねぇし、ましてテメェの都合の良いように出来てるわけじゃねぇんだ。愛情だの勇気だので解決しなくても、金でなら解決することだって確かにある。分かるな?」
「うん……ごめん……」
「よろしい」
すっかり頭を下げたリーファにリョウは一言そう言うと……クルッと振り向いた。その顔には、いつものニヤリとした笑みが張り付いている。
「なら説教は終わりだ!で、こいつどうする?」
そう言って、リョウがトンキー
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