一話 咎人と女神
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で待っていたのは黒い髪のきれいな十歳ぐらいの少女だった。
少し信じられないのか、目をゴシゴシと擦るが結果は変わらず、彼の瞳には艶やかな黒い髪に、金色の瞳、そして身には中世の神官の着るような豪華なローブで着飾った少女が立っていたのだ。
「はじめまして。僕はーー君たちが読んでいるところの神様だね」
「は?」
そして、少女から言われた言葉に思わず目を細め、唖然とする青年。
いや、突然合った少女が神様と名乗ったら、どんな人でもこうなるだろう。
「だから!!か・み・さ・ま!!」
目の前の男が驚いていないようなので強調するように幼女は無い胸をそらし、宣言する。
だが、そんな姿には威厳が欠片も無い。
(なに?この子は…。神様?この子が?)
そんな姿を見た男は思わず、胸中でそんなことを思ってしまう。
「―――そんなことより、ここどこだ?」
少女の神様宣言を『そんなこと』で済まし、男は辺りを見回す。
がっちりと作られた壁に、複数設けられた窓には、雲ひとつ無い晴天が映されている。
「日本じゃ…ないみたいだが…」
「えっ!?」
だが、そんな彼の様子に今度は、少女が男の言葉に驚く。
「そんなことも知らないでここに来たの?」
「ああ。なんか、気づいたら列に並んでてな」
呆れたようすで、青年に尋ねる少女。答えを聞いて、その表情の色がさらに濃くなる。まるで、常識を知らない存在を目の当たりにしたかのような反応に、すこしムッとするが、その次の言葉でそれは吹っ飛んだ。
「あなた…水無月悠二は下界の時間で27:00に死亡したのよ。覚えてないの?」
そして、彼女から放たれた言葉は突然の『死』の告知。あまりに突然すぎて男…悠二の頭は珍しくフリーズしてしまう。
「え?」
「だから、あなたは死んだの」
さらにそこに追い打ちをかけるように少女は事実を突きつけた。誰だって、『アナタは死にました』なんていわれれば驚くし、信じられないのも致し方ない。だが、彼に前後の記憶がないのも事実。否定しきれない。
(―――たしか、僕は奴等から仕事を請け負って……)
悠二が順々に記憶を負っていく中、少女はハアとため息を一つついた。そして、業を煮やしたのかパチンと指を鳴らすと少女と青年の間にモニターが浮かび上がる。そこに移りだされたのは見覚えのある服装の男が体中から血を流している光景。…その男とは紛れも無く彼本人であった。
「ああ・・そういえば・・あの時」
ちょうど、その時まるで謀ったかのようなタイミングで悠二も思い出した。自分がどうして屍をさらすことになってしまったのか、その顛末を鮮明に脳裏に描けた。
(ああ、そうだ。あの時、僕はアイツら
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