一話 咎人と女神
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一話
咎人と女神
これはひとつの物語。
世界に抗い、そして世界に殺された男のひとつの異端。
世に転生者は星の数こそあれ。彼のような転生者は一握の砂のごとく、少ないのではないだろうか?
脚本も筋書きはありきたりなもの、だが役者がいい。
ーーー故に面白くなると思うよ?
さあ、開幕だ。
ポップコーンとジュースの準備はいいか?
小便は済ませたか?
一分一秒でも、観客を楽しませられたのなら幸いだ。
では、今度こそはじめるとしよう。
――世界に抗った、愚者の物語を
*
ーーー次元の終息地、そして根源に存在する世界。ありとあらゆる世界はそこから生まれ、そして滅びたのちにそこへと還る。名前はないが、そこを訪れた人間の言葉から『神界』と呼ばれているこの世界は、世界と同じように、そこで死んだ人間を査定し、転生させる云わば関所のような機能も果たしていた。
ここで、管理人によって来世が決定し、転生する。
その入り口である『死者の門』付近でこの物語は始まりを告げた。
「―――ここは…」
黒いスーツを着た男は目を覚ますとなにか列のようなものに並んでいた。前を見ると私服やコートなど多種多様な服を着た老若男女がすさまじい長蛇の列で並んでいる。
なぜ?自分がこんな場所にいるんだろうか?しばらく、思考を巡らすがなぜか、靄がかったように思い出せない。
「―――まあ、なるようになるだろう」
と、頭を切り替えると静かに順番を待つ。
〜五時間後〜
「ここか?」
列を並び、順番が来た男はどこか恭しい態度の女性に案内され、どこか執務室のようなところの前にたっていた。
ちなみに、その女性は先ほど『それではよい人生を』と、一礼すると立ち去っている。
そこが何の場所なのか、わかりえる唯一の情報になりそうなのは扉の上にはなにやら書かれている文字だけ。一見するとローマ字に近いと思われるその文字だが
(―――読めん)
読めなかった。英語をはじめとした数ヶ国の言語を体得している彼でも、読めないような文字だ。だが、初めて見たか?と聞かれるとそうでもない。どこかで見た気がしたが、どうにもそれが思い出せない。
「――むう」
腕を組んで、必死に記憶を手繰り寄せては見るモノの、結果は芳しくない。そのことに腹立たしげに唸り声をあげる。
「――仕方ない。この部屋の主に聞いてみますか」
数秒、そのまま悩み続けるが、やがて目の前にある重厚な扉へと目を向ける。
少々不用心すぎる気がするがいまとなってはそうするよりほかないだろう。ドアノブに手をかけて扉を開けようとすると
「――」
「あ、来たね」
そこ
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