暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
ALO編
七十話 地底氷河と邪神水母
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けた」象水母がのーんと立っている。正直相手の象殿のHPは敵対を示すイエローなので、彼を攻撃していた巨人が居なくなってもこの象水母がリョウ達を攻撃しないこと自体不自然と言えばそうなのだが……寧ろリョウには、一応援護してくれた奴を今日の晩飯にするか否かを考えているようにも思える。

 しばらくそのままにしていると、象水母は突然、リョウ達の方へとその長い触手を伸ばしてきた。キリトが「げっ」と言いながら飛びのこうとするが……

「大丈夫ですパパ。この子、怒ってません」
 ユイがそう言って、キリトを止める。「子」と言うには少々図体が大きすぎる気がするが……しかしまぁ、停止した三人を彼(?)は逃さないらしく、そのまま触手に体を絡め取られ、

「ひええええぇぇぇっ!?」
「おっ……と……」
 情けないリーファの悲鳴と、リョウの戸惑ったような声が重なる。そのまま触手にからめとられた三人は口の中……ではなく、象水母の頭に載せられた。

「おわっぷ!?」
 ぽいっと頭の上に投げ捨てられ、頭から着地して変な声を上げたリョウはふさふさとした短毛の生えた象水母の中央に三人が着地すると、象水母はそれがさも当然の状態であるかのように移動を始めた。
こうして高い位置にいると、この広いヨツンヘイムも良く見渡せる。凄惨ながらも美しいその景色に、リョウ達はしばらくの間見とれていた。が、やがてリョウが口を開く。

「…………」
「こりゃぁ……どんなタクシーだ?」
「邪神級のタクシー?っていうか、クエスト?」
「クエストなら、ここら辺にスタートログが出るはずなんだよね……でも出てないってことは、イベント的な物だと思う……でもそうすると、ちょっと厄介かも……」
 俯き、顎に手を当てて考え始めたリーファに向かって、リョウ達は首をかしげる。

「厄介って、どう言うこった?」
「クエストなら、クリアすれば報酬もらって終わり。で良いのよ。でもイベントって言うのはプレイヤー参加型のドラマみたいなものだから、絶対ハッピーエンド。ってわけじゃないのよね……」
「……って、結局ものすごく酷い目に会う。とか?」
「うるうる。あたし前、ホラー系イベントで行動選択ミスって、魔女に窯で煮られて死んだ事あるもん」
「す、凄いゲームだな……」
「つーか自分でうるうる言うな」
「そこは突っ込まないでよ……」
 少し恥ずかしかったのか頬を掻いたリーファを見ながら、キリトがどさっと足を投げ出して座りながら言う。

「ま、もうこうなったら乗りかかった船……というかクラゲだな。どうせ此処から落ちたら大ダメージだろうし、最後まで付き合おうぜ。で……その、リーファ……、今更だけどさっきの事……ごめん」
 その後少しの間リーファとキリトはお互いの非を認めあい、互いに謝罪し合っていた。
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