ALO編
七十話 地底氷河と邪神水母
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の枠には当て嵌まっていなかった。邪神級モンスターはペットモンスターにする事は出来ないし、プーカの扇動演奏も効果が無い。幻属性の魔法は多少効果が望めるが、そもそも目の前の邪神級モンスターについているカラーカーソルに、錯乱の異常状態にかかっている事を示すライトエフェクトも見えない。つまりこの二体は、自分の意思で、目の前のもう一体に戦いを仕掛けている事になる。
さて、そんな二体の戦いは、はっきり言えば優劣がはっきりしていた。
すなわち、三面巨人優勢。象水母が劣勢だ。連続して叩きつけられる巨人の剣劇の嵐に対し、象水母は自らの触手で対抗しようとしているが、凄まじいスピードで振りまわされる剣戟が邪魔で相手の体まで届かない。寧ろ押し負け、体に剣が叩きつけられるたびに、どす黒い体液が飛び散るエフェクトが出ている。
と、ついに巨人の剣がクラゲの触手の一本をまともに捉え、斬り飛ばした。跳んできた一本の触手がリョウ達の方へと吹っ飛んできて……
「うおわっぶ!!?」
見事に、リョウが居た地点に着弾した。リョウはそれを、ヘッドスライディングの要領で地面に飛びのいて避ける。それをみたキリトが、ぎょっと目を向いた。
「お、おい、此処にいるとまずいんじゃ……」
「不味いんじゃ……じゃなくて不味いっつーの!逃げるぞ、リーファ!」
リョウは地面に手をついたままそう言ったが、リーファは動かない。唯じっと、巨人の嵐のような攻撃から離脱できずについには縮こまりだした水母型邪神を見つめている。その声は、みるみる内に弱弱しくなっていき……
「助けよ。キリト君。リョウ」
ついに、こんなことを言いだした。
「……はぁ!?」
「ど、どっちを……?」
いや待てキリト、聞くべきはそこでは無いはずだ。モンスターを助けるとか何を言っているんだこの少女は。
「勿論、苛められている方よ」
「いやリーファお前……んな苛められてるって……どっちだってありゃ邪神だぞ?モンスターだぞ?分かってるよな?」
「でも……!可哀そうよ!」
「可哀そうって……お前……」
リョウの確認するような……半ば呆れたような言葉にも怯まず必死の目で訴えて来る。どうやら本気らしいと悟り、リョウは額に手を当てる。
「ていうか……仮に助けるとしても、どうやって?」
「えーと……」
今度は、キリトが聞いた。いや、だから助けるのかそもそもと、リョウとしては非常に疑問なのだが、どうやら聞き届けられないらしい。
というか、リーファはどうやらどうやって助けるかまでは考えていなかったらしく、むぅ……とうなっている。
「……なんとかして!」
「よし、行くぞキリト。全力で逃げる」
「あぁぁ!待ってってば!」
「アホか!そもそもモンスター同士が争ってるなら都合いいだろうが!
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