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SAO─戦士達の物語
ALO編
閑話 歪な狂気
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するためだ。
オトナの事情とやらをずっと聞かされていた彼には、力有る者にとって気に入らない事をするのは得策ではないと、なんとなく理解していた。
 無論、小学校の先生の前で悪い点を取ったところでさしたる実害など有るわけもないが、とりあえずそのなんとなくに従って有る程度努力した。まぁ、だから当然、悪さもせず常に先生に怒られるような事はしなかった。

 そんな時、クラスのとある悪ガキの少年が、彼に何事だったかのイチャモンを付け、取り巻きと共に彼に攻撃を仕掛けた。彼はその少年が遊びに彼を誘っても、先生を怒らせたくないためにことごとく断っていた。少年は曰く、彼のそう言った「良い子ぶった」態度が気に入らなかったらしい。

 当然、彼は先生にその事を言いつけた。当たり前のように、その少年は先生に叱られたが、今度は「お前のせいで先生に怒られた」と言う意味不明な理由で彼にまた攻撃を仕掛けた。彼は理不尽だと主張したかったが、それを言ったらもっと殴られた。

 何度かそれを繰り返すうち、ついにその少年は、先生を本気で怒らせた。その次の日。彼は学校の帰り道で、怒鳴られた事によって逆に憎しみを募らせた少年達に無理矢理二メートルの塀から突き落とされた。手首が折れた。
 しかも少年はあろうことか、そんな事をしておいて彼に「今度先生に言ったらもっとひどい事をする」と言った。

 彼は、先生には言わなかった。その代わりその悔しさと怒りと恐怖と憎悪のすべてを、彼の親に言ったのと全く同じ口調で──親に言った。

 親の対応は迅速だった。例えどんな親であったとしても、彼の親は彼らなりに、息子を愛していたのだ。
直ぐに学校及びその少年の親に連絡し、しかるべき手段を持ってその少年の親から金銭的な責任を取らせ、学校には全力の抗議を向けた。
果たして小学三年生であった相手の少年達が、その事で一体どのような処置を受けたのかは分からない。しかし数日後学校の一室でその少年達が、それぞれの親のどなり声に怯えながら泣きながら自分に謝り、それ以降やっかみと同時に恐怖の視線を向けて来る事で、彼らの攻撃と、彼の復讐の連鎖は終わった。

──快感だった──

 自分にあれほどまでに偉そうな態度を取り、あれほどまでにクラス内で厚顔不遜に振舞っていた連中が、自分を恐れていると思うと、それだけで圧倒的な快感と、歓喜が彼を包んだ。
そもそも自分は、彼らのような馬鹿よりも明らかに上の立場にいるはずだった。彼らが自分に攻撃を仕掛けること自体が、明らかに摂理に反する事だったのだと、子供午後ろながらに深く思った。

 そこから彼は中学、高校と歩を進める中で、彼は上の者には猫を被り、下の者はとにかく見下すようになった。自分がより上に立ち、より上に立っていた者を見下すために。あるいは、自分の利益を得
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