第十五話 海賊達の総会
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少なくして価格を下げればいいものを船長達の取り分を下げようとしたんだからな。
当然だが船長達は契約違反だって訴えたし、そんなトラブル抱えてる所にゃ仕事は来ねえ。あっという間に会社が傾いたぜ。あとはウチが買収して終わりだ。ウチが買収して船長の取り分は契約通りと言ったら船長達は皆訴えを取り下げた……。
「よう、黒姫の、来てたのかい」
太い声とともに大柄な男が近づいてきた。ワーグナーの頭領だ、相変わらず元気一杯って感じだな。顔には笑みが浮かんでる、その所為で右頬の刀傷が一際目立つぜ。幹事だからな、嬉しいのかな。
「幹事役、御苦労様です、ワーグナーの頭領。今日は宜しくお願いします」
「いや、宜しくお願いするのはこっちの方だぜ。ベーレンスの頭領、シュワルツコフの頭領、済まんが黒姫の頭領を少し借りるぜ」
二人とも笑顔で頷いた。まあワーグナーの頭領に頼まれたら嫌とは言えんよな。
……そうか、ベーレンスとシュワルツコフの頭領達が親っさんとの関係を強めたいと思っているのは仕事だけじゃないな、ワーグナーの頭領の件も有るか……。これから三年はワーグナーの頭領が幹事だ。ウチの親っさんはワーグナーの頭領と親しい、これは何かと心強いよな。
ワーグナーの頭領が親っさんを人気のない所に誘った。二人で話し始めるが声を潜めている所為だろう、周囲には聞こえない。皆が注目しているな、まあ無理もない。ワーグナー一家と黒姫一家、どちらも帝国では五指に入る組織だからな。この二つの組織がこれからも協力していくのかどうか、その協力の度合いはどの程度の物か、興味津々だろう。
ワーグナーの頭領は上機嫌、親っさんは時々苦笑している。ワーグナーの頭領に“頼りにしている”とか言われているんだろうな。親っさん、そういう風に言われるのが苦手だから……。あ、こっちに戻ってきた。
「ワーグナーの頭領、私の力が必要な時は遠慮なく言ってください。喜んで協力させていただきます」
「そうかい、あんたにそう言って貰えると百人力だぜ。なんたってあんたはイゼルローン要塞を落した男だからな」
ワーグナーの頭領が豪快に笑った、その傍で親っさんが穏やかに笑みを浮かべている。
周囲が皆顔を見合わせている。決まったな、親っさんが周囲に聞こえるように言ったって事は本気でワーグナーの頭領を支えるって事だ。総会でグダグダ言う奴はいないだろう……。
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