第十五話 海賊達の総会
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ってな」
「……そうか」
マテウスは追放された。組織からだけじゃない、辺境からもだ。辺境ではどこの住民もマテウスを相手にすることは無いだろう。辺境以外のどこかで生きていくしかない……。海賊にはなれない、何処の海賊組織も追放された人間など受け入れない。まして追放したのが黒姫の頭領だ。下手に受け入れればウチと揉める事になる。何処かの企業に勤めるか、軍に行くか、或いは土地を耕すか、一番可能性が高いのが犯罪者だろう……。あと五年、生きていられるかどうか……。
「馬鹿な野郎だよ。……アルント、野郎がオーディンに現れても関わるんじゃねえぞ。但し監視は付けろ、ウチの名前を悪用しねえようにな」
「ああ、そうするよ、キア。その時はそっちにも知らせる」
「そうしてくれ」
そう言うとキアは忌々しそうに大きく息を吐いた……。
帝国暦 489年 3月31日 オーディン エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
「ホテル・ヴォルフスシャンツェですか、随分と気張りましたね、オーディンでも一流ホテルですよ」
総会が開かれるホテル・ヴォルフスシャンツェへ向かう途中、地上車の中でキアが話しかけてきた。
「幹事はワーグナーの頭領ですからね。腕の見せ所でしょう」
俺の言葉にキアが頷く。総会の準備は幹事が行う、幹事の任期は三年、そして幹事は総会での議長を務める事になっている。ワーグナーは今年から幹事になった。張り切っているのだろう。
「二年も経てば親っさんに幹事をって話が出てくるかもしれません」
「面倒ですね、他の人にやってもらった方が良い。組織間の揉め事の調整なんて嫌ですよ……」
「そうは言っても逃げられますかねえ。ワーグナーの頭領は親っさんを頼りにしていますよ」
幹事は組織間の揉め事の調整を行う事も有る。基本的に揉め事は当事者同士で解決するのが決まりだが、揉め事を起こした組織が幹事、或いは有力者に調停を依頼する事も有るのだ。有力者は断れるが幹事は断れない。その所為で調停に随分苦労した幹事も居ると聞いている。
要するに幹事は海賊組織の調整役なのだ。調整役には力が要る、従って幹事に選ばれるのは海賊組織でも五指に入る大組織の長が選ばれることになっている。黒姫一家は帝国でも五指に入る大組織になった。幹事の資格は十分に有る、やる気はゼロだが……。
幹事には当然だが旨味も有る。総会に出る組織は幹事に対して会費を納める。まあ言ってみれば一年間の活動費みたいなもんだ。一組織が収める金額は二十万帝国マルク。総会に参加する組織は五十近くある。何も揉め事が無ければ丸儲けだ。総会に参加しない組織も有る、当然だが会費も納めない以上揉め事が起きても幹事に頼ることは出来ない。総会に出た組織に比べ弱い立場になる。
警察が総会を黙認するのもこ
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