第十五話 海賊達の総会
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務所に到着すると親っさんは副頭領、リスナー所長と打ち合わせに入った。暫くは俺達は控室で待機だ。キアやウルマン達と話すのは久しぶりだ。コーヒーを入れて皆で飲む。宇宙港で緊張したせいだろう、旨い。キアが話しかけてきた。
「アルント、随分とデカい屋敷だな。内乱で没落した貴族の屋敷だって?」
「ああ、持ち主は戦死してるよ。政府が競売にかけてな、ウチがある不動産屋に買わせてそこから購入した。直接ウチが買うと煩いからな」
「他にもそういう屋敷は多いのか?」
「持ち主が居なくなって病院とか福祉施設、学校になった屋敷は結構ある。ウチの右隣は病院だし左隣は戦傷者のための職業訓練学校だ」
「はーっ、帝国も変わったな。実感が湧いたよ」
キアが嘆息するとウルマン、ルーデル、ヴァイトリング、ヴェーネルトが頷いた。
少し雑談をした後、気になっていたことを問いかけた。
「一つ聞いていいか、マテウスさんが追放されたが一体何が有ったんだ?」
皆の表情が強張った。そしてウルマンが吐き捨てた。
「アルント、もうマテウスさんじゃない、マテウスだ。ウチとは関係ないんだからな」
「……」
フランツ・マテウス、俺やキア達より十は年上の構成員だった。先月の半ば過ぎ、突然他の数名と共に組織から追放された。親っさん達がこちらに向かう直前のはずだ。
「薬に手を出そうとしたんだ」
「薬? まさかサイオキシン麻薬か?」
「いや、もっと軽い奴だがな」
信じられない、ウチの組織はその種の薬は禁止している。一体何を考えているのか……。呆然としているとルーデルが後を続けた。
「最近辺境も景気が良くなって妙な奴が増えてるんだ。金髪が改革を始めてから中央は取り締まりが厳しくなった。それで、辺境なら景気が良いし取り締まりも厳しくない、そう考えたらしい」
「流れ者か……。それに引っかかった、そういうわけか」
「妙な奴が居る、それで密かに調べている最中だった。そんな時にマテウスと奴の仲間が接触したんだ。どうも薬を売るのを助けようとしたらしい。俺達と組めば辺境じゃ大儲けできる、そう言ったらしいな」
「馬鹿げている……」
「馬鹿なんだよ」
俺が呟くとキアが厳しい声を出した、こっちを強い目で睨んでいる。
「辺境はウチの縄張りだ。ここまで一家が大きくなったのは辺境の住民と協力してきたからなんだ、それが分かってねえ。薬なんか流してみろ、俺達は縄張りを失いかねない」
「……それで追放か……」
「連中を捕まえて船を調べた。結構な量の薬が有ったよ、雑貨に混じってな。連中は警察に突き出した。マテウスとその仲間は追放だ、未遂だからな。他の組織にも辺境の住民にも追放は通達した」
「……」
「ウチは親っさんの名前で辺境領域の住民に謝罪文を出した。もう少しで迷惑をかける所だった
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