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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第十五話 海賊達の総会
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で注意した。慌てて周囲を見る、皆親っさん達に視線を向けている、妙な動きは無い。
皆が口々に異常が無い事を告げるとリスナー所長が
「そのまま周囲を警戒しろ、ゆっくりと歩くぞ」
と言って歩き出した。

所長の指示に従って周囲を見ながらゆっくりと歩く。連中は親っさんより俺達に注目している。慌てて視線を逸らす奴もいる。なるほど、こういう警告の仕方も有るのか……。親っさん達が到着出口から出てきた。先頭はアンシュッツ副頭領だ、リスナー所長が傍によって挨拶をした。

「御苦労様です」
「そっちこそ御苦労だな。待たせたか、リスナー」
「ええ、何か有りましたか、副頭領」
「警察がな、職質をかけてきた。嫌がらせだな」

アンシュッツ副頭領が顔を顰めている。確かに嫌がらせだろう。明日、海賊がオーディンで総会を開くのは警察もとっくに知っているはずだ。殆どの頭領は既に集まっている。敢えて親っさん達に職質をかける必要は無い。
「嫌がらせとは限らないでしょう。ローエングラム公が実権を握ってから役人の綱紀粛正が進んでいると聞きます。我々に対しても通常任務として行ったのかもしれません」

「親っさん、我々は犯罪者じゃ有りませんが」
アンシュッツ副頭領が抗議すると親っさんがクスッと笑った。
「しかし犯罪者より悪名は高い」
親っさんの言葉に皆が苦笑した。苦笑が収まると動き出した。俺と所長が先頭に立つ、その後を親っさん達が続きその後をウチの人間が固める。外の駐車場には車が六台、運転手と共に待っている。

六台の車が事務所に向かう、俺はリスナー所長と共に三台目の車に乗る。親っさんも一緒だ。車が動き出すと親っさんとリスナー所長が話し始めた。
「それで状況は」
「良くありません。我々が向こうと取引をするのが気に入らないようです。軍人、商人、警察、政治家、皆我々を非難しています。唯一の味方は改革者だけです、しかし決して声は大きくは無い」
親っさんが溜息を吐いた。

「やれやれですね」
「今日も随分と見物人が居ました。我々の弱みを掴んで押さえつけたい、そう思っているのでしょう」
「なるほど、……憲兵は如何です」
「見物には来ていたと思います。しかしそれ以外はこれといって動きは有りません」
親っさんは面白くなさそうだ、顔を顰めている。

「……気付いていないと思いますか」
「そうは思えません。先日も我々の件で軍内部で喧嘩が有ったくらいです」
「……敢えて放置している……」
「その可能性は高いと思います」

今一つよく分からない会話だな。いろんなところがウチを面白く思っていないのは分かる。憲兵が動いていないって言ってたな。親っさんは面白くなさそうだけどそれがよく分からない。憲兵なんて動かないでいてくれた方が助かると思うんだが……。


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