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SAO─戦士達の物語
ALO編
六十九話 K/S同盟会合の乱
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プデート5,0》の話は知っているか?ついに、《転生システム》実装されるという噂が有る」
「あっ……じゃあ……」
『なーる……』
 《転生システム》と言うのはおそらく名前の通り、一度決めると変更できないはずの種族をステータスを引き継いで別の種族に転生させるのだろう。と、言う事は……

「モーティマーに乗せられたのだろうな。領主の首を差し出せばアップデートが実装され次第サラマンダーに転生させてやる。と。だが転生には膨大なユルドが必要になるらしいからな。狡猾なモーティマーが契約を履行したかどうかは怪しいな……」
 モーティマーと言うのは、先程であったユージーンのリアルでの兄だと言う男で、現在のサラマンダー領主だ。狡猾で頭がキレる上に判断に情けが無く、ALO内では知の兄に武の弟。と言われるほどだ。
これまで数々の相手を利用し、上手く領主に上り詰めたと言われているそのプレイスタイルを見る限り……シグルトの望みが達成された可能性が高くないのは、リョウにも分かる事だった。あるいはそれほどまでに、彼が精神的に追い詰められていたのか……

『っま、いずれにしても……』
「人間の欲を試す陰険なゲームだな。ALOって……」
 リョウの思った言葉を、苦笑交じりのキリトが続けた。

「きっとデザイナーは嫌な性格してるに違いないぜ」
「ふ、ふ、まったくだ」
 サクヤもまた、笑みと共に言葉を返す。と、リーファがスッとキリトの腕に自分の腕を絡めているのが見えた。

『おーおー、少年少女、って感じだねぇ……』
 ニヤニヤと笑うリョウは彼女達の後ろに立っているため、その表情は見られていないはずだ。

「それで……どうするの?サクヤ」
 リーファがそう訪ねた数分後、シグルトは抗議の声と共に、サクヤの権限によってシルフ領から完全に追放された。

────

「サクヤ……」
 シグルトを追放してからしばらくの間、サクヤはじっと何かを考え込むように眼を伏せていたが、リーファの気遣うような呼びかけに答えるように、ため息混じりの笑みを漏らした。

「私の判断が正しかったのか、それとも間違っていたのかは、次の領主選挙で問われるだろう。ともかく──礼を言うよ、リーファ。執政部への勧誘を頑なに拒み続けていた君が救援に駆けつけてくれたと言うのは、個人的にとても嬉しい。それとアリシャ、シルフの内紛のせいで危険にさらしてしまった事、本当に済まなかったな」
「生きてれば結果オーライだヨ!」
 そんな呑気な事を言うケットシーの長に続いて、リーファは首をぶんぶんと横に振る。

「ううん。あたしは何もしてないもの。お礼ならそこの二人にどうぞ」
「そうだ……君達は一体……」
 二人の領主が、それぞれキリトとリョウの顔を疑問符を浮かべた顔でまじまじと覗き込む。

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