第59話 =新たな冒険=
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「……大丈夫か、直葉…?」
「……ぷはっ!!…し、死ぬかと思った……」
涙目で肩で息をしながらそう呟く直葉。家に帰ってきた早々に直葉が縁側で悶えているのを発見し和人が飲み物を渡していた。どうやら置いてあったチーズマフィンが喉に引っかかって窒息しかけたらしい。
「そそっかしいやつだなぁ…」
そういいながら和人は直葉の隣に腰掛け靴紐を解こうとしていた。
「マフィンは逃げないって」
俺も和人の隣に腰掛け、靴紐を解き始める。すると、和人が隣の直葉に向かって話しかけた。相変わらず直葉はマフィンを食べているが今度はチビチビと食べている。
「その…なんていうか……サンキューな」
「え……」
やっぱり昨日、直葉と寝たことが和人の行動するきっかけになったらしい。そこは本当にありがたい。
「スグのおかげで元気でたよ。俺、諦めない。絶対にアスナを助け出してみせる」
「うん……頑張ってね…あたしもアスナさんに会ってみたいもん」
「きっと仲よくなれるよ…な」
と、兄のほうが俺に話を振ってくる。
「俺もそう思うよ。多分、姉妹みたいに」
直葉とアスナだとずっと話が絶えなさそうな感じがする。「じゃあ」という言葉でまだ食べている少女に一旦別れを告げてから
「じゃ、また後でな」
「あぁ、向こうでな」
俺と和人は互いにそういい、部屋へと入っていく。
俺が使わせてもらっている部屋は元は物置として使っていた和人や直葉の部屋に比べると少々小さい部屋だ。それでも使わせてもらっているだけでありがたいしこれくらいの大きさの方が俺は好きだ。その部屋の片隅においてあるナーヴギアを手にとって思っていた。本当にALOにアスナとユカがいるのかな…って。そうやって考えたって他の手がかりなんて見つかるはずもないんだけど…。
「…行くしかない、か」
あの事件以来、俺はナーヴギアを被ったことは1度も無い。なので恐怖もあるがそれだけじゃない。向こうでは楽しみの方が多かったから新たな異世界でもそういった楽しみがあるのかどうか…という気持ちもある。
「また、頼むぜ…」
物言わない世界の架け橋、そして俺の動きを忠実に再現してくれた機械に話しかけそれを被る。ハーネスを顎の下で固定しシールドを下ろして眼を閉じる。そしてまだ1回しか言ったことのない命令を機械に下す。
「リンク・スタート!!」
その言葉により、現実の俺の意識は仮想世界へと飛ばされていった。
――――――
視覚や聴覚、感覚に重力などいくつものチェックが終わり最後に言語を選択すると視界が突然変わり暗闇の中へとゆっくり落下していった。やがて下から虹色の光が見えてきて、そのリングをくぐるとストンと異世界の入り口へと
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