ALO編
六十八話 事態急転
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先頭の一人を追って飛ぶそれはまるで戦闘機の大部隊のようだ。
そしてその先に、白い長テーブルをはさんだ七人、七人の者たちが会談をしている。どうやら話し合いに夢中らしく、迫りくる脅威にまだ気づいていない。
「──間に合わなかったね」
この時点で、リーファは覚悟を決めていた。今からでは警告は間違いなく間に合わない。しかしそれならそれで、討ち死にを覚悟でも領主を逃がす努力をしなければならない。
「ありがとう。キリト君、リョウ。此処まででいいから、二人は世界樹に行って?ほんと、短い間だったけど……楽しかった」
キリトの右手を握ってそう言ったリーファは、決死の会談場へと特攻すべく翅を折りたたもうとして……しかし右手を離さなかったキリトに止められた。リーファがあわてたように振り向くと、そこには二ヤッと。あるいはニヤリと不敵に笑う、いつもの二人の姿が有る
「此処で逃げ出すのは、性分じゃないんだよな」
「そう言うこった。綺麗に挨拶してもらった上に一通でわりいが、ちいとばかし賭けてもらうぜ?」
「えっ?」
「行くぜ兄貴!」
「おう!」
言うが早いが、キリトとリョウは一斉に翅をたたみ、バンッ!と言う音と共に大地へと急降下した。後ろからリーファの文句が聞こえてくるが、とりあえず無視。
殆ど落ちるような降下を行いつつ、二人は短く相談する。
「で?上手いでっち上げ考えてあるんだろうな?キリト」
「ま、やるだけやってみるさ。合わせてくれよ?」
「任せろ、翠叔母さんとスグ誤魔化すよりかは簡単だろ」
「そりゃそうだ!」
目指す先の台地では既に、反包囲された領主たちが直前で気付いての抜刀していたが、焼け石に水なのは明らかだった。そうして、サラマンダーの一人が右手を高く掲げ、振り下ろそうとした……直前。
──ズガアアァァンッッ!!!──
凄まじい音とともに、黒と朱の隕石が、二つの勢力の丁度中間に着弾した。その余りにも突然な衝撃に、二つの勢力は凍りついたように固まる。
巻きあがった土煙の中から、二つの人影がむくりと立ち上がる。
「(兄貴)」
「(あいよ)」
小さな声で言ったキリトに、リョウが答え、スゥッ……と思い切り息を吸い込む。キリトが目立たないように耳を塞ぐ。
「双方……剣を引けェェェッ!!!!!」
轟ッ!!と、
その場全てを一瞬で威圧する化け物じみた大声が、《アルン高原》に響いた。
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