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SAO─戦士達の物語
ALO編
六十七話 巨大橋の死闘
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一定まで歌わなければいけないのは変わらない物の、その長さが演奏のそれよりはるかに短く、また効果時間も長い。
難易度にしても演奏の方が難易度が高いのだが……しかしそれらデメリット補うほどに、演奏による支援《バフ》効果は呪歌や魔法のそれを遥かに上回る。支援効果だけで言うならば、楽器演奏は全ての支援方法の中でトップの物だ。
そしてリョウの使用するセイレーンの笛は、それら支援の中でも効果時間の短さを克服し、しかも効果が高いというまさしく超支援特化の楽器だ。

 リョウは一つたりともミスをすること無く、一気に演奏を紡いでいく。
それを待たず、キリトの初撃がサラマンダーを襲い……

「えっ……!?」
 突然、リーファは驚いたような声を上げ、リョウは演奏しつつもキリトとサラマンダー達を見た。
見ると、サラマンダーは武器を構えることなく、前衛の三人が大盾を構えたのだ。

「セイッ!」
 気合のこもった声とともに、その盾をキリトの剣が直撃する。しかし当然、唯盾を構えただけの彼等に致命的なダメージは届かず少し押されただけで彼等は止まる。
抜けたダメージによって前衛三人は一割ほどHPを減らしたが……そこに、即座に連続した回復魔法《ヒール》のスペルが放たれた。重唱された癒しの光は、即座に前衛達の体力を満タンにする。

『そう来たかよ……!』
 直後──盾の裏から飛び出したオレンジ色の火の玉が大量の放物線を描き、キリトのいる位置に、凄まじい大爆炎とともに直撃した。黒く小さな影を、火炎地獄が吹き飛ばす。

「キリト君ッ!!」
 思わず。と言った様子でリーファが叫ぶのを聞きながら、リョウは相手の分かりやすくも強固な戦術を見て取った。
要は、前衛三人は唯の壁役。物理攻撃力の凄まじいキリトの攻撃を受ける事に集中し、攻撃には参加しない。減った体力は、後ろに居るであろう九人のメイジの内、三人が回復させ、残りの六人は攻撃魔法を壁の向こうのキリトにぶち込む。
早い話が、矢で反撃してくる城壁相手に、剣で挑むようなものだ。

『物理特化のボスに使うような戦術だぞこれ……』
 義弟はボスモンスター扱いかと、相手の過剰な戦力に呆れつつもリョウは演奏を続ける。リーファもすぐに詠唱の長い高位ヒールを撃ち、キリトを援護するが、あれは最早気休めでしかない。
だが此処に来て、リョウの演奏の始めの一つがようやく完成した。

進軍曲/強襲せよ炎の如く《マルツィアーレ・アサルト・フィアンマ》

 これによって、キリトの物理攻撃力が格段に上がったはずだ。自身に出た支援エフェクトを見たらしいキリトが再び火炎を放たれる前にもう一度突撃する。

「うおおっ!!」
 再び放たれた刃が、盾に直撃する。と……

「うおぁ……!」
「ぐっ……!」
「なん……!?」

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