ALO編
六十七話 巨大橋の死闘
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こうなった。キリトのついた溜息に、リョウは唇を尖らせる。
「何だ、失礼な奴だな」
「失礼も何も……人が真剣に悩んでるのに答えは勘って……ほんと、兄貴らしい」
そう言って呆れた様子のキリトだったが、その表情は明るい。何か付きものが取れたような顔をしていた。
「でも、そうだよな……今のおれたちには、そう言うのに頼るくらいしか出来ないんだ……」
「そう言う事だ。それに、俺ほどじゃねぇにしろSAOで鍛えたお前の勘だって、そう言ってるだろ?」
煙草を咥えつつ自信満々で問うたリョウに、キリトは首をかしげる。
「どうだろうな……良く分からないけど……」
「ふっ、修行が足りんようだな若者よ」
「あのなぁ……」
「叔父さんの根拠は根拠になってないです〜」
「人間なんてそんなもんだ。諦めなユイ坊」
「だからウチの娘に変な事を教えるなって……」
そうこう言っているうちに、リーファが戻ってきた事で、キリトとリョウはログアウトした。
キリトは知らない。リョウが、普段の彼からは想像もできないほど、今この事に必死な事を。
リョウは気付かない。自分が、普段の彼からは想像も出来ないほど、今この事に必死な事を。
────
ローテーションを終えた三人は、山の上の方を目指して飛行する。前方には既に、洞窟……ルグルー回廊が見え始めている。
そんな中、リョウは全く関係ない事を考えていた。
『直葉《あいつ》も、何か趣味出来たのか……?』
そう思ったのは、ログアウトした時の幾つかの光景からだ。
ついさっきログアウトした時、リビングには直葉が作ったと思われるベーグルサンドが一人一つずつ置いてあった。それのおかげで直ぐにリョウ達は再びログインする事が出来たのだが、来る前に入ったシャワーの中の空気はまだ温かかったし、風呂場からリビングへの廊下には微妙に水滴が落ちていて、食器洗い機に食器を入れる時に指先が触れた直葉のマグカップも妙に温かかった。しかし彼女の靴は玄関に有ったので外に出たわけではないだろう。(というか、シャワーの後すぐにこの寒い中を外に出るとは思えない)
つまり彼女はマグカップで温かい物を飲んだ後すぐにシャワーを浴びて急ぎ足にリビングに移動(あるいはこのタイミングで飲み物を飲んだ)階段にもほんの少しだが水滴が有ったから、やっぱりすぐに上に上がった事になる。
一応声はかけたが返事はなかった。と言う事は音楽でも聞いているか動画でも見ているか、あるいは……
『ははっ、まさかな』
考えすぎだ。そう思ってリョウが回廊の前に着地した……その時だった。
──ピリッ──
「ッ……」
リョウは突然、素早く後ろに振り返る。
「リョウ?もしかしてまた?」
「んあ?あぁ……キリトはどうだ?」
リーフ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ