ALO編
六十七話 巨大橋の死闘
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なら、元々この世界には《敏捷値》と言うステータスが無く、プレイヤーの動きの速さは本人の反応速度で決まる。リョウの場合、確かにSAO時代は敏捷値が皆無なせいですさまじい動きの遅さを披露していたものの、元々反応速度その物についてはキリトに決して劣らない……と言うか、長年の戦闘反復による経験などから無意識のうちに効率のよい反応速度の使い方を理解しているキリトには今は及ばないながら、純粋な反応速度の才能的部分だけならばリョウはキリトを超えるのだ。
ならばなぜ、リョウに《二刀流》のスキルが渡らなかったかと言えば、それをカーディナルが観測する機会が無かったからである。
敏捷値の低さは当然、リョウが己の反応速度の速さを生かして高速で戦闘する機会を奪っていた。突発的危機などの状況下で瞬間的にその高い反応速度が出る事はあっても、プレイヤー達の中でそれがトップであると確認しきるほど、カーディナルはリョウの反応速度を分析しきれなかったのである。
しかし今、その枷は外され、リョウは自身の自由な体による高い反応速度に自覚を示しつつある。完全に自覚さえしてしまえば、リョウは即座にその自分の身体に“慣れる”事が出来る。SAOで鍛えられた筋力値による“力”と、自由な体の反応速度による“速さ”。ある意味で、手の付けられない怪物が眼を覚ましつつあった……
────
古森を抜けて、山岳地帯に入り始めたリーファ・キリト・リョウは、一度飛翔力の限界が来たため地面へと降り立った。
ちなみに、翅は本来人体には無い器官であるはずなのだが、長い間飛んでいると何故か肩甲骨の付け根あたりが疲れるような感覚を受ける。現に、リーファとキリトは地面に降り立つと、背中を伸ばすように大きく伸びをしている。リョウはと言うと……
「ふぅ……なかなか長いな」
口にくわえた短いストロー状の物体から、薄い緑色の煙をたなびかせている。煙の色を除けば、明らかに煙草を吸っているように見えた。
「まだ半分も来てないわよ……っていうか、リョウはそれ好きねぇ……スペクターさんの所で買ったんだっけ?」
「あぁ。まぁな」
リョウが加えているのは、《モスミントの煙棒》というアイテムだ。口にくわえて、先っぽをトントンッと素早く二回たたくと、両端から魔法の煙が発生する。この煙は、少し辛めのはっかっぽい風味で、口の中に含むと、スーッとする清涼感が味わえるのだ。ちなみにこの煙、冷たい。
リョウはこれを出発前に寄ったスペクターの店で見つけ、かなりの量を買い込んでいた。それこそ、旅の間ずっと吸っていても問題ないくらいには。
実際、スイルベーンを週発してからと言うものしょっちゅう吸っている。はたから見れば丸っきりヘビースモーカーだが、煙草では無いから嫌な臭いはせず(寧ろさわやかなミントの香りが辺りをうっすら
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