第八話・弄ばれる転生者
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その答えを彼は予想していたのだろう。
理由については特に何も聞かず、話を続ける。
「ふむ、それは不可能ではないが一つ条件がある」
「何だ?」
恐らくだが願い事を二つとも消費するとか、そのあたりだろうと予測する。
しかし
「生き返るにあたり懸念事項があってね…」
神の答えは違った。
「懸念事項?」
反射的にその言葉を聞き返す。
「ああ、些細な事だがね」
そう言って神は何かのスクリーンのようなものを俺の前に展開する。
そのスクリーンには俺の全身像が映し出されていた。
俺の体に何か問題があるのだろうか?
俺がその疑問を抱いたの知ってか知らずか、神は懸念事項に付いて説明する。
「生き返るのに願い事を一つ消費するとして…」
そこでスクリーンに変化が起きる。
「このままでは生き返った直後に君は死ぬがどうするかね?」
スクリーンに訪れた変化は実に分かりやすいものだった。
つまるところ俺が少女に斬られたところに赤い線が表示されていた。
その線は俺の胴体を斜めに横切り、そのまま左肩部分まで伸びている。
「ここでもう一つ願いを使えば断たれた部分の再生は可能だが、あいにく願い一つにつき繋ぐ事が出来るのは一ヶ所だ」
つまり、と神はおかしくて仕方がないといった感じで
「君は腕と胴体ではどちらを繋げるかね?」
神の顔には趣味の悪い笑顔で満たされていた。
無論、答えは一つしかない。
「…胴体だ」
そう、それしかない。そうとしか答えようがない。
腕を失っても生きてはいける。無論、それに伴う苦労や苦しみはあるが。
しかし上半身と下半身が両断された状態では生きてはいけない。
誰が考えても分かる簡単な答えだ。
何故、こんな簡単な事を神は俺に聞くのか。
それは
「そうか、ならばもう君に聞く事はない。では生き返らせてあげよう」
満足いったという感じの顔をする神、ゼウス。
つまるところは腕か胴か選ばせることで俺を精神的に追い込みたかったのだろう。
どこまでも趣味の悪い奴だ。
「ああ、そうだ」
神は何か思い出したといった感じで
「そのうち君にはプレゼント送るとするよ」
プレゼント?何故?
と思うが生き返るためなのだろう、俺は強烈な眠気に誘われる。
「何故プレゼントを渡すのか知りたいのかい?それは…」
聞いてもいないのに答えようとするあたり、やはり神は人の心を読めるのだろう。
俺はその聞いてもいない答えをどうせなら、ともう少しで失ってしまいそう
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