ALO編
六十六話 旅立ちの空
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、の……脱領者《レネゲイド》如きがぁ!!」
予想通りと言うか、シグルトは絶叫とともにブロードソードを引き抜いた。激怒した目が、リョウを睨みつけるのを見て、リーファとキリトが前に出る。
「いやいや、キリト〜?お前は斬られるぞ?」
「カッコつけてるときにそういう事言うなよ!」
苦笑しながらそう返してきたキリトに、リョウはカラカラと笑った。その様子に余計にいら立ったらしいシグルトが、唯一自分に対抗できるリーファを睨む。
「リーファ、お前……何時までこんな連中に構うつもりだ!それとも領地を捨てる気か!?」
それを聴いたリーファは一瞬本当の意味で迷いの光を浮かべたが、直ぐにそれは決意の光へと変わる。
「そうよ!私は……私はここを出て行く!」
「ならば最早お前にも情けはかけんっ!!」
ついに大上段に剣を振りかぶったシグルトが、それを振り下ろそうとする。しかしそれを、後ろのプレイヤーたち数人が体を張って引きとめた。
「し、シグさん!落ち着いて下さい!」
「こんな一目に着く所で、無抵抗の相手を斬る気ですか!?」
「ぐ…………!!」
この世界には領主制があるという話だし、シグルトはそちらの方面にも一枚かんでいるのだろう。それを聴いて、少し冷静に鳴ったように動きが止まる。
なんとか落ち着いたらしく、そのままシグルトは剣を収め、「いずれ必ず後悔するぞ」と捨て台詞を吐いて歩き去った。。
「はぁ〜〜」
リーファが大きく息を吐き、力が抜けたようにへたり込む。
「いやぁ……悪かったなぁ。守ってもらって」
「ごめん……って言うか、ありがとな。リーファ」
リョウは笑いながら、キリトは申し訳なさそうに言うと、リーファは少し何かが抜けたような笑顔で返す。
「ううん。良いの。寧ろなんかごめんね?変な事にまきこんじゃったね……」
「いやぁ……俺も火に油を注ぐような事言っちゃって……」
「確かにな。全く……考えなしに言うなよああいう事」
「考えて言うリョウよりましじゃないの?あの言い回し、狙ってたでしょ?」
「あぁ?何の事だ?」
ニヤニヤしながら言うリョウにリーファは、「うわー、悪い笑顔」と言うと、微笑んで立ちあがり、エレベーターへと向かった。
────
「っはー、大した眺めだな……」
「凄いな……なんて言うか、空が近いっていうのかな……」
風の塔と屋上で、リョウとキリトがそれぞれ呟いた。リョウは腰に手を当て、キリトは天を仰ぐ。リーファは、眩しそうに空を見て、右手をかざした。
「でしょ?……この空見てるとどんな事も小さく思えてくるよね……」
それはまるで自分に言い聞かせているようで、キリトは気遣わしげに彼女を見る。
「良かったのか?リーファ、領地抜けるとか……色々……」
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