ALO編
六十六話 旅立ちの空
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て行かれてはかなわないので、あわててキリトとリョウが追いかける。
もう少しで中に入れる……と言うところで、行き成り横から出てきた数人のプレイヤーが、三人の行く手を塞いだ。
後ろを走っていた二人は余裕だったが、リーファの方はそうもいかず、翅を広げて何とかブレーキングする。
「ちょっと危ないじゃない!」
止まったリーファが当然の抗議の声を上げながら正面の相手をみて、苦虫をかみつぶしたような顔をする。まずい相手に見つかった。と言った様子だ。
相手のプレイヤーは、軽妖精であるシルフにしては、かなり高い背丈を持っていた。重厚そうな銀色のアーマーに身を包み、腰には大きめのブロードソードがつられている。
「こんにちはシグルト」
どうやら簡単に退く気は無いと言った様子の彼に、リーファは務めて(明らかに作った表情だと分かったが)笑顔でそう切り出した。挨拶を返す事も無く、シグルトは口元をきつく結び、うなり交りの低い声で言う。
「パーティから抜ける気なのか、リーファ」
リーファはしばし迷った様子を見せたが、やがて一つコクリと頷いた。
「うん。まぁね……貯金もだいぶできたし、しばらくのんびりしようかと思ってるの」
「勝手だな。他のメンバーが迷惑するとは思わないのか」
「ちょっ……勝手!?」
リーファの怒ったような声を無視して、シグルトは続ける。
「お前は俺のパーティの一員としてすでに名が通っている。そのお前が理由もなく抜けて他のパーティに入ったりすれば、こちらの顔にも泥が塗られることになる……」
『……泥……ねぇ……』
リョウは半ば呆れた様子で二人の事を見ていたが、シグルトの言い回しはどうにも少々一方的すぎるような印象を受ける。リーファも明らかに不満そう……と言うかもはや唖然としている。MMORPGにも、人同士のしがらみや束縛は付きものでは有るが、リーファは見たところそう言ったものとは無縁に見えていたので、リョウは多少驚いた。
しかしどちらかと言うと、シグルトの顔はリーファに対して少しばかり嫉妬しているような光が瞳から見て取れた。その光を、リョウは前にもごく近いものとして見た事があるのを思い出す。
あれは……いつ頃だっただろうか?夏休みに、まだ母が生きていて、叔父叔母の家に……すなわち桐ケ谷家に遊びに行っていた頃、剣道の稽古に行った直葉が中々帰って来ないのを叔母たちが気にしているのを見て、街の探検がてらにと直葉を迎えに行った時だ。
稽古場であるとある道場に行く途中の公園で、直葉が彼女より年上と見える何人かの男子に囲まれて、ねちねちとした嫌がらせじみた事をされていたのだ。
当時、美幸達の事もあってその手の事への沸点が低かった涼人はその場でキレてその男子達をボコボコにしてしまったのだが、その男子達の眼に、シ
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