ALO編
六十六話 旅立ちの空
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ンス。けど、問題はこの笛の《エクストラスキル》……」
エクストラスキル
レジェンダリィウェポン等に固有の物として備わっているスキルで、それぞれ強力な効果を持つ事が多い。だが、この武器の問題はそこだった。
「これのエクストラスキルは《モンスコルソング》。演奏中に、半径五キロ圏内に居るボス以外すべてのモンスターの憎悪値《ヘイト》を、演奏者自身に対してのみ最大値で固定化するスキルでヤンス」
「な、何それ!?」
「成程……そう言う事か……」
憎悪値《ヘイト》が全て自分の方に集中するとなれば、一度演奏を始めれば延々と自分はモンスターに狙われることになる。当然、演奏に集中など出来ないし、何よりパーティプレイとなれば憎悪値《ヘイト》管理が出来なくなるのが致命的だ。前線を張るのが役目である前衛職《フォワード》や、中距離戦士《ミッドレンジ》を無視して後方支援《バックアップ》を狙って来るとなれば、パーティ全体も大迷惑だろう。
「どんなに効果が高くても……支援職の本分である、戦闘中の再支援《リバフ》なんかがろくにが果たせないんじゃ、使いどころが限られ過ぎちまって、誰も使わねぇんでヤンス。何しろこれを持ってた前の商人すら、『これを使いこなせる奴ってのがどうしても見つからなくてさ……』って言うくらいでヤンスから」
「てわけで、これはやめといた方が良いでヤンス」と、スペクターは結んだ。
そのまま「他に良いのを選んでやるでヤンス」。と言って、もう一度スペクターは奥に向かおうとする。しかし……
「いや、それをもらうぜ。スペクターの兄さん」
「ち、ちょっと、リョウ!?」
「はは……」
ニヤリと笑ってリョウはスペクターを呼び止めた。リーファとスペクターが驚いた顔でリョウの方を向く。しかしキリトだけは、予想していた。と言うように苦笑しただけだ。
しばらく驚いた顔をしたスペクターが、おかしなものを見るような視線をリョウに送る。
「……正気でヤンスか?」
「正気も正気だ。その笛、買ったぜ。俺にぴったりだ……」
「……?」
「俺は元々戦士なんでな。何が寄ってこようが、全部ぶちのめせる自信があらぁ」
「ほぅ……?」
スペクターの眼が、再びキュッと細まる。品定めの目線再びだ。
「……後悔しないでヤンスな?」
「ったりめぇだ。どうだ?譲るか譲らねぇか……」
「…………」
しばらくリョウの事をスペクターは延々見つめていたが、やがて二ヤッと笑うと一つ頷いた。
「良いでヤンショ。このままウチで持ってても持ち腐れでヤンス。ただし、返品は受け付けねぇでヤンスよ」
「モチ。んじゃ、交渉成立だな?」
「でヤンス」
「おっし!んじゃついでにあの棚のさぁ……」
そう言うと、リョウは再びスペクターを連れて何か怪しげなものが積んであ
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