ALO編
六十六話 旅立ちの空
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スペクターは心底驚いたようだった。
「そりゃあ……よく見つけたでヤンスな。棚の上の方にあったはずでヤンスのに……」
「棚に腰ぶつけたら落ちてきたんだよ……」
「ほぅ……」
それを聞くと突然、店主の眼がキュッと細くなる。それはまるで、リョウの事を品定めしているかのようだった。
「ね、ねぇリョウ……ていうかスペクターさん……もしかしてそれって……」
「リーファさんお察しの通り、これは伝説級武器《レジェンダリィウェポン》の一つでヤンス」
「レジェンダリィ!?」
質問したのは自分でありながら、リーファは思わず大声を上げてしまった。
「なんだ?それ凄いのか?」
「あぁ……冷裂と同じくれぇにはすげぇだろ」
「世界に一本って事か……」
伝説級武器《レジェンダリィウェポン》
その世界内に、たった一つしか存在しない、超が着くほどのレアアイテムであり、それぞれが通常のアイテム類とは比較にならない力を持つ事が多い。
「これの名称は《魔笛・セイレーンの笛》。ウンディーネ領の近海にある水中遺跡で偶然発掘されたもんだそうで、多くの使い手を経て、この間ウチの領地に来た女連れの行商人から格安で仕入れて、ウチに転がりこんだアイテムでヤンス」
「あぁ。シドさんね……って、あの人から仕入れなんてしてたの?」
「まぁ、あまりにも安かったんでヤンスよ」
「でもレジェンダリィってことは……今は相当高いのか」
「……」
キリトの問いに、スペクターはしばし口をつぐむ。そうして、やはりそうなのだろうとリョウが別のを選ぶと言いだそうとしたとき、スペクターはその首を……“横”に振った。
「え……」
「値段は……ウチもそこまで高くするつもりはねぇでヤンス。ただ……」
「……ただ?」
深刻そうな顔でリョウに向き合ったスペクターの表情を見て、心配になったリーファがスペクターに続きを促す。すると……
「悪い事は言わないでヤンス。これはやめた方が良い」
「あぁ……?」
「何か、問題のある装備なの?」
「これは……“ハズレ物”なんでヤンス」
ハズレ物
この世界ではままある話だ。ある一方面に余りにも特化しすぎて、それに対するデメリットが大きくなり過ぎた結果、使い辛く、もしくは使えない物となってしまった装備品や、アイテム。もしくは、もとからメリットが少なく、デメリットが大きいアイテム。
この笛は、そんなアイテムの一つなのだそうだ。
「……どういうこと?」
「ハズレってことは……デメがひどいって事か?」
「…………」
リーファとキリトが同時に問う。リョウは、黙ったままだ。
「そうでヤンス。これは使用した時の演奏による支援《バフ》効果が滅茶苦茶に高くなる上に、持続時間も長くなる、それだけなら夢みたいなアイテムでヤ
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