ALO編
六十六話 旅立ちの空
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「わりぃな二人とも。付き合わせて」
「いいさ。雑貨屋は覘いてみたかったし」
「それに旅に出るなら装備はしっかりしておかないと後であたしたちも困るもんね」
「っは。素直な奴らだな」
それぞれの答えに苦笑しつつ、リョウとキリト、リーファは雑貨屋へと向かった。
────
さて、所変わってリーファお勧めの雑貨屋。リョウは、奥の倉庫にある楽器置き場に案内され、脇に並べられたいくつもの楽器類とにらめっこしていた。
「はぁ〜。十分色々有るじゃねぇか」
「本場《プーカ》の楽器店ならこんなもんじゃあねぇでヤンショ」
リョウの言葉に、店の店主であるクシャっとした髪で細身の若い男……《スペクター》はそう答える。語尾にやたらと「ヤンスヤンス」をつける特徴的なしゃべり方の男だったが、特にリョウは気にしていなかった。ネトゲでキャラ作りなど普通だ。
「いやぁ、ぶっちゃけ一文無しのこの身一本で領地を出た身でよ。楽器店にゃよらねぇで来たから、新鮮だぜ」
「ははぁ……お客さん変わり者でヤンスねぇ」
「良く言われるよ」
「まぁそういう無茶みてぇのは嫌いじゃねぇでヤンスよ!つーわけで、ごゆっくり見て行ってくださいでヤンス」
「おう。サンキューな」
そう言って店内に居るキリト達の方へと向かった店主を横目に、リョウは楽器探しを再開する。
品ぞろえは悪くないものの、かなり狭いスペースに沢山の楽器を押しこんでいるせいでごちゃごちゃとしている。楽器たちを一つ一つ丁寧に見て行く……フルートのような横笛、リコーダーのような立て笛。トランペットのような金属で出来た直管楽器に、ヴァイオリンのような弦楽器……と、下の方の楽器をのぞこうと、腰を屈め、後ろの棚に少し腰が当たった時だった。
「いって!?」
突然上から降ってきた何かがリョウの頭に当たり、軽い衝撃を与えてきた。本当は痛みは無いものの、反射的にそう言ってしまう。
「ったく……何なんだよ……ん?」
リョウは自分の頭に当たったものが何なのかと周囲を見渡してそれを見つけ、思わず固まった。
「こりゃぁ……笛だよな?」
地面に転がっていたのは、一本の縦笛だった。
だたし唯の笛ではなく、全体的に深く鮮やかなメタリックブルーで、ところどころに銀で細やかな装飾が入っている。フォルムはイングリッシュホルンに近いだろうか?全体を覆う光沢が非常に美しく、一目でそれがレアアイテムだと分かった。
「とりあえず……」
どんなものなのか店主に聞こう。と思い、リョウは店主がいるであろう売り場の方へと向かう。
「あ、兄貴」
「リョウ、どう?」
「おっ、選んだでヤンスか?」
「あぁ。これなんだけど……」
リョウが差し出した蒼い笛を見た瞬間、全員の眼が一斉に見開かれる。特に、店主の
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