第六章 (1)
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ようになってきたのだ。逃げ切れそうな予感に、僕も少し気が緩んだのかもしれない。やがて、大通りの方から喧騒が洩れてきた。僕と柚木は助かる……そう安堵する気持ちに反比例して、激痛がいや増していく。
「……ねぇ柚木」
「なに?」
「助かったら、救急車呼んで……」
「………うん」
柚木が頷いた。そのあと、なにか一言呟いたような気がしたけど、脈打つ激痛にかき消されて聞こえない。僕はただ、足を動かし続けた。
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