ALO編
六十五話 翡翠と風の街
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彼女自身が驚いていた。
「いや、でも、会ったばかりの人にそこまで世話になるわけには……」
「あぁ。つかお前だってアルンまでどんだけあるか分かってるだろ。いきなり過ぎやしねぇか?」
「いいの!もう私がそう決めたんだから!」
リーファ自身にも何故自分が此処まで本気になっているのか分からなかったが、それでも彼女はキリト達について行くと言い、頑として譲ろうとしなかった。
キリトは止めるより戸惑っていたようだったが、ある程度リーファの言っている事の意味が分かるリョウは何とかリーファを説得しようと奮闘する。
「いやしかしだな。お前だって領地云々から色々……」
「あたし、対して領地にこだわらない主義だし」
「納税とか」
「ノルマとかウチの種族ないし」
「脱領者《レネゲイド》……」
「完全に抜けるわけじゃないし」
「…………」
「……」
「ったく……分かったよ」
「はは……なんて言うか……じゃあよろしく。リーファ」
「う、うん!」
しばらく睨みあっていた二人だったが、やがてリョウが折れた。溜息をついてリーファの主張を通す。
状況が理解できていなかったキリトだったが、とりあえずリーファに案内してもらう事に決まった事は理解したらしく、微笑んでリーファに握手を求める。リーファは少し顔を赤くして、キリトと目を合わせないようにしながら手を差し出した。
「んじゃまぁ、出発は明日でいいか?」
「うん。そうね……明日の三時ごろ、またIN出来る?」
「あぁ」
「ん、三時か……」
「あ、都合悪い?」
「あーいや。大丈夫だ。なんとかなると思う」
「そう?じゃ、また明日ね!」
「あ、リーファ!」
そう言ってリーファ頬が赤いまま幾つかの操作を行い、ログアウトしようとする、それを、キリトが呼び止めた。驚いたようにこちらを振り向いたリーファに、キリトと、キリトの意思を察したリョウが言う。
「──ありがとう」
「サンキューな」
笑顔をとともに一つ頷いて、リーファは消えた。
────
「どうしたんだろう彼女」
「さぁ、今の私にはメンタル感知の機能がありませんから……」
「はぁ……」
あっけに取られたようにリーファの居た椅子を見つめるキリトと、分かっていないだろうユイを見て、リョウは一つ大きな溜息をつく。この鈍感は……
「俺は先に寝るぞ。お前も、今日はちゃんと寝とけよ」
「あ、あぁ。乙……「あ、それと」え……?」
「浮気すると、アスナに刺されるぞ」
「パパ!?」
「し、しないって!兄貴も何言ってんだよ!」
「さぁな。心当たりが無いなら良いが」
「パパ!だめですよ!だめですからね!」
「しない!しないから!兄貴!」
「はっはっはっ!せいぜい弁明したまえ少年」
「兄貴ィィィィィィィ!!」
キリト
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