ALO編
六十五話 翡翠と風の街
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飲み物の香草ワインとともに運ばれてきたスイーツ達を前にしつつ、笑ったリョウをリーファは少し恨みがましく睨み、キリトは笑いを抑えるのに必死になっている。
そのうち、リーファがもやもやを吹っ切るようにグラスを高く掲げる。
「あぁもう……!まぁとりあえず……改めて、二人とも助けてくれてありがと」
その声と同時に三人のグラスがチンッと涼しげな音を立て、冷たい緑色のワインを三人は一斉に口に流し込む。少し渋みのあるハーブのさわやかな香りが口の中に広がるとともに、程よい甘みが広がる。少し癖があるが、おいしいと思えた。
飲み終わった三人の中で、初めにキリトが口を開く
「いや、まぁ成行きだったし……て言うか、ほんとに好戦的な連中だったよな。ああいう集団PKってよくある事なのか?」
「うーん連中《サラマンダー》が本格的にやってきたのはここ最近かなぁ……もともと家《シルフ》と連中は仲悪いんだけど、最近のは……多分近いうちに世界樹の攻略しようとしてるんじゃないかって言われてる」
「それだ。その世界樹について教えてほしいんだ」
それから先は、しばらく世界樹に関する話が続いた。
現在のキリトの目的は世界樹の上に到達することだが、リーファ曰くすべてのプレイヤーは総じてそう思っているだろうと言う事だ。
曰く、何でも世界樹における《グランドクエスト》は、世界樹内部のガーディアン達を退け、その上にある《ユグドラシルシティ》に到達するという至極単純な物らしい。初めにその世界樹の上へ到達したプレイヤーは《妖精王オベイロン》に謁見し、自身の種族を高位種族の光妖精《アルフ》に生まれ変わらせてもらえる。アルフとなった物は、自身の翅に枷となってまとわりつく《飛行制限》を解除され、無限の空が約束されるのだそうだ。とは言え、そのガーディアン達が強すぎるおかげでオープンから一年が経過した今でも、そのグランドクエストはクリアされていないそうだが。
ちなみに多くの署名によるバランス改善の要求を出しても、運営側に突っぱねられたという。リョウはその話にどことなく違和勘を覚えたが、今はとりあえず目の前の甘味に集中する事にして、黙る。
そんなグランドクエストに対し、現在各種族が模索している方法は二つ。
一つは「何かキークエストを見逃しているから、それを探し出す」という方法、一応現在各種族が躍起になって探しているらしいが、それらしいものは見つかっていないらしい。
そしてもう一つが、「他種族との同盟を組んで、連合軍を組織。それによって突破する」という方法。しかしこれはリーファに曰く、絶対に無理だろうと言う事だった。何故なら、「初めに辿りついた種族のみ」がアルフに生まれ変わる事が出来るにも関わらず、「他種族との同盟」と言うのは、余りにも矛盾しているからだ。
結論としては、現時点での状況で
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