第十四話 アイテムとの会談
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インした部屋は、一泊150万円というロイヤルスイートなのである。
「このくらいの部屋じゃないと隣に聞かれたりするでしょ」
「ま……まぁ、そうかもしれませんけど……」
「結局、麦野にしてみればこれぐらいが普通って訳よ」
隣に聞かれたくないから広い部屋を取ったという麦野さんの言い草に、俺はわざわざその為にこんな部屋を取ったのかと思ったのだが、フレンダの言葉を始めアイテムのほかのメンバーの様子から見ると、これが麦野さんの普通の金銭感覚のようだ。
「それじゃ、早速説明してもらいましょうか」
「それでは……」
俺は用心のために音響結界だけ張っておき、麦野さんたちにあの研究所で流れていた音について話し始めた。といっても、事実を元に俺が多少脚色したものだ。
内容はこんな感じである。―――あの研究所で流れていた音はレベルアッパーと呼ばれるもので、聞くだけで能力が上がるという代物である。俺がレベルアッパーを知っていたのは、レベルアッパーを偶然持っていたから。レベルアッパーを使った人の脳は、AIM拡散力場を利用したネットワークを形成し、他人の脳を使うことで演算処理能力を大幅に上昇させることも出来るが、逆に自分の演算能力も他人に使われることになる。そうすると、常に脳を他人に使われて脳の疲労が激しくなることが考えられるので、このまま放置すると何か脳に異常が出る可能性もある。あと、演算能力が上がるだけだと思うので、能力の基本的な強さは多分変わってないだろう。そして、AIM拡散力場でネットワークが形成されているので、もしかしたらAIM拡散力場がおかしくなったのはそれが原因かもしれない―――
「そんなものがあるのか……」
俺の説明が終わったところで麦野さんがつぶやく。恐らく暗部としての視点で何か考えているのだろう。
「超実感ないです」
「まだレベルアッパー自体がそれほど出回ってませんからね。使用者がもっと増えれば、多少は違いを感じることが出来るかもしれませんけど、元々高レベルだとかなりの人数がレベルアッパーを使用しててもなかなか実感できないかもしれませんね」
絹旗さんの言葉に俺が答える。演算能力が5200万もある絹旗さんが実感できる程度というと、多分1000万ぐらいは上がらないといけないのではないだろうか。そうなると、最終的なレベルアッパー使用者数が1万人になるとしても、一人当たり1000ずつを割り当てなければならないのだ。
「結局、私には意味無いって訳よ」
「大丈夫だよ、私はそんな無能なフレンダを応援してる」
能力的には一番下のフレンダは何故か落ち込んでいて、そこに滝壺さんの毒舌が炸裂している。ホテルまで歩いている間も具合が悪そうだった滝壺さんは、そこそこ回復してきているようだ。
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