ALO編
六十四話 三人と一人の遭遇
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いい!」
周囲の木を蹴っての急激な方向転換や、ゆっくりとした滑空《グライド》。空中バック転等、次々に高等なテクニックを連発させた後、地面に降りて来て……
「なーるほどぉ。こりゃ流行るわけだ」
「凄い……」
「流石……」
リーファが驚いた表情をし、キリトが二ヤッと笑うのと向き合って、二ヤリと笑った。
────
さて、兄が何かを出来るようになると、小さい子はまぁ大体弟もやりたがる物である。
決して小さい子ではないのだが……この場合のキリトも、その例に違わず、リョウが飛べるようになったと見るや、リーファに指示を仰ぐ。
「そう!今のをもう一回!もっと強く!」
教えられる事少しして、キリトの翅も振動数を上げ始める。そうして腕を組んだリョウとキリトの方の上のユイが見守る中、先程のリョウと同じくらいの勢いまで振動が達した瞬間…………
「えいっ!」
どんっ!という音とともに、リーファがキリトの事を空中へと押し出した。本来ならばそこで浮くのだろう。しかし唯浮くには、キリトの翅は推進力を上げすぎていた。結果としてリーファの一撃はキリトの翅のエネルギーを一気に解放して……
「うわあああぁぁぁぁ──」
キリトはロケットのような勢いで、空中に飛び出し、声の残響を引いて梢の向こうの上空へと消えた。
「……完」
完では無い。
「やばっ!」
「パパー!」
「はぁ……」
二人のあわてた声と、一人の溜息を残して残った三人もあわてて空へと飛び立つ。邪魔な木々を抜け、上空へと出るとそこには……
「うおわああああああああ!?たぁすけてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
飛行を制御できず。右に左にとふらふらに飛び回る人影が見えた。黒いその姿は月夜の影となり、まるで影を使った劇のワンシーンを見ているかのようにも感じる。勿論ギャグシーンだ。
それを見て……
「ぷっ……あはははははははははは!!」
「はっはっはっはっはっ!!最高だぜキリト!ナイスピエロ!はっはっはっ!!」
「ご、ごめんなさいパパ。面白いです〜」
二人の妖精と一人の小妖精は、一斉に大爆笑した。空中でホバリングしたまま足をばたつかせて三人ともが笑い、少し収まってくると……
「わひゃああああああぁぁぁぁぁぁ!!?」
これが聞こえてまた笑えてくる。
そんな事を何度か繰り返して、やっとキリトがリョウに襟首を捕まえられたのは、数分が過ぎてからだった。
────
「よーし、そうそう、そんな感じよ……」
「おっ……とっと……」
リーファにサポートされつつ、キリトは何とか空中でバランスをとれるようになってきたようだ。ちなみにそれが出来るまでの間、リョウは木の上で寝転んだりユイと喋ったりしていた。そうして……
「おぉ……これは…
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