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SAO─戦士達の物語
ALO編
六十四話 三人と一人の遭遇
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から、少年は背中に背負った小さな剣の柄に手をかけると……やや戸惑ったような顔で、リーファにこんなことを聴いてきた。

「えーっと、あの人たち、斬っていいのかな?」
「そりゃ……いいんじゃないかしら?……少なくとも先方はそのつもりだと思うわよ?」
「つか、今更許してくださいとかいう気かお前は」
「そりゃそうだよな……んじゃ失礼して……」
少年は剣を抜くと、少し腰を低くして剣をだらりと垂れ下げ構える。気合いが入っていそうには見えないフォームだったが、そんな印象云々の事は少年が右足を前に出した瞬間、砕け散った。
ズパァン!という空気の破裂するような音が鳴り響き、一瞬で黒衣の少年が二人のサラマンダーの後ろに現れる。その姿勢は剣を振り下ろしたように低い姿勢となっていて、一瞬遅れて立ちあがりかけだったサラマンダーの片方が、《エンドフレイム》と呼ばれる死亡エフェクトを残して消え去り、その場に《リメントライト》という蘇生待機エフェクトがその場に残る。余りの速さに、リーファ達の眼が着いて行けず、少年は完全に消えたように見えた。
そしてそれは少年だけでは無い。リーファ達がその速さを完全に理解しきるよりも早く、今度はもう一つののんびりとした声が響く。

「よそ見してていいのかい?お兄さん」
いつの間にかもう一人のサラマンダーのすぐ後ろに立った赤毛の青年が、右手に持ったダガーを逆手に持ちながら奇妙なほど自然な口調でそう言った。

「な……が!?」
後ろに回られたサラマンダーが驚いて振り向く刹那に、そのサラマンダーもエンドフレイムをまきちらし、リメントライトと化す。此処まで来てようやく、この二人の動きが速すぎる事をリーファとリーダー格のサラマンダーの二人の脳が完全に理解した。
この世界におけるアバターの動きの速さを決めるのは、それを操るプレイヤーの脳の反応速度だ。反射神経や長年の経験からも鍛える事が出来るとされるそれが、目の前のこの二人はけた違いに速いのだった。

またスピードもさることながら、残り半分は残っていたヘビーアーマー装備のサラマンダーのHPを一撃で全損させた攻撃のその威力もすさまじい。
ALOでの攻撃ダメージを算出する要素は、大きく分けて四つある。攻撃の速度。命中部位。武器自体の威力。そして被ダメージ側の装甲だ。今回、少年達の武器の威力はほぼ最低域。対し中立域の奥深くでPKを行うメンバーだったサラマンダー側の装甲はそれなり以上の高レベルだっただろう。つまりそれを覆してしまうほどに、少年達の攻撃速度および部位に対しる精度が正確だった事になる。特に、青年の方については、斬られたサラマンダーが首の辺りを中心にエンドフレイムを出していたことから見て超高速で急所部位《クリティカルポイント》である首をかっ斬られたのだろう。制御の難しいハイスピードで
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