ALO編
六十四話 三人と一人の遭遇
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やプーカの領地からは遥かに離れた地であり、しかも中立域のかなり奥であるにも関わらず一体何故。という疑問と、一体全体何を考えているのか。という怒りが同時に湧き上がり、そこに仲良さげに笑う新米プレイヤー達が一方的な暴力にさらされるのを見たくないという思いが重なった結果、思わず彼女は叫んでいた。
「あなたたち何してるの!速く逃げて!」
しかし、黒衣の少年は全く動じたような様子を見せない。赤毛の青年の方にしても、「ほら、お邪魔っぽいぞ」とか言いながら横の少年を小突くだけ。その姿には緊張感のかけらも無く、状況の危険性を全く理解していない事が良く分かった。
その上、黒衣の少年は右手をポケットに突っこんだまま周囲を見渡し、リーファとサラマンダー達を見比べた後、事もあろうにこんなことを言った。
「重戦士三人で女の子一人を襲うっていうのはちょっと格好良いとは言えないかなぁ……」
「何だとテメェ!」
リーファの方に槍を構えていた左右のサラマンダー二人がその台詞に反応し、槍を構えたまま空中を移動。少年たちを前後で挟み込むように空中待機の姿勢を取ってランスの切っ先を彼らに向ける。
赤毛の青年は「この馬鹿……」とか言いながら額に手を当てているが、その態度にはやはり緊張感が無く、明らかに恐れも焦りも抱いてはいない。
「くっ……」
助けに入ろうにも、残りの一人、リーダー格の男が抜け目なくこちらにランスを向けているため、それもできない。
「テメェ等ぺーぺーの癖にノコノコ出てきやがって、馬鹿だろ?お望み通り纏めてさっさとやってやるよ!」
そう言って、兜のバイザーを下し、黒衣の少年の前で構えていたサラマンダーが深紅の光の帯を引きながら少年たちに向かって突進を開始する。
ランスが少年の体を貫く瞬間を見るのが忍びなく、眼を閉じようとしたリーファの行動を、少年の声が遮った。
「兄貴」
「おう」
短い会話。ふと見ると、少年と背中合わせに立ち、後ろに居たもう一人のサラマンダーを正面から見据えていた赤毛の青年が膝を曲げ、頭を下げたのだ。何をする気なのかと思った時には、右手をポケットに突っ込んだままの少年の左手が、ガードエフェクトの光とともにサラマンダーのランスの切っ先を掴んでいた。
「えっ……?」
「な……!?」
新米が……否。玄人がやるにしても普通ならあり得ない現象である。驚くリーファとリーダー格のサラマンダーをよそに、少年は自分の背後……丁度、青年の方が頭を下げた事によって出来た空間に、相手自身の勢いを利用してランスごと突撃したサラマンダーを放り投げる。
「うおわあああああぁぁぁ!!?」
結果、少年達が回避したら時間差で突撃して仕留めようと空中に待機していた仲間にその体がぶち当たり、二人は錐揉みしながら地面に落下した。
それを見て
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