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髑髏天使
第五十話 帰郷その十四

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 そしてそのうえでだ。こうも話すのだった。
「ではそう思っていてだ」
「うん、会えたんだよ」
「いいいことだよ、本当にね」
「僕達にとってね」
「俺もそう思う」
 自然とだ。出た言葉だった。
 そうしてだ。彼はまたアップルティーを飲んだ。そうしての言葉だった。
「このアップルティーもだ」
「うん、アップルティーが?」
「どうなの、それは」
「美味しいだけじゃないんだ」
「一人で飲んでも美味さは限られている」
 ここでこう言うのであった。
「しかしだ。こうして皆で飲むとだ」
「そうそう、味が違うんだよね」
「ずっと美味しくなるんだよね」
「一人より二人」
 そして言われるのだった。
「二人より三人でね」
「多ければ多いだけね」
「楽しくなるんだよね」
「そうだな。一人でいてはな」
 彼はだ。考える顔になってそれで言った。
「限られている」
「おそらく君はじゃ」
 またここで博士が話す。
「そのまま戦っているだけじゃと」
「魔物になっていたか」
「只でさえ危うかったのじゃ」
 その話にもなった。
「智天使になった時のことは覚えておるな」
「よくな」
「君は強くなるのが尋常ではなかった」
「これまでの髑髏天使に比べてだな」
「そうじゃ。文献によればじゃ」
 どうだかはだ。今ここにいる者は全て知っている。だがあえてこう話されるのだった。
「君は一年で全ての階級を昇ったが」
「それ自体がだな」
「ないことじゃった」
 こう話す博士だった。
「そもそもそれがない」
「だからこそか」
「そもそも上級の座天使ですらなる者は稀じゃった」
 それ自体もだと博士は話していく。
「しかし君はそれを遥かに越えてじゃ」
「今に至るか」
「それだけに危うかった」
 その魔物になることについてだ。
「非常にな」
「それだけ戦っているからか」
「その通りじゃ。君は非常に危うかった」
 博士の話は続く。
「しかしそれがじゃ」
「そうならないで済んだ」
「戦いに入っているだけではなかった」
「こうしてここにいてか」
「わしやこの連中とも一緒にいたからのう」
 博士はここでは妖怪達を見た。彼等は相変わらず楽しげに飲み食いをして博士と牧村の話を聞いている。それは非常に明るいものだった。
 そしてだ。博士はさらにであった。
「あとはじゃ」
「あとはか」
「これが一番大きいと思う。家族じゃ」
 博士が次に出したキーワードはこれであった。
「君はよく家族と一緒におるな」
「そうだな。今こうしている俺達の年代はな」
 どうかとだ。牧村もまた話し手いく。
「少ないだろうな」
「特に兄弟とはじゃな」
「未久か」
 この名前をだ。牧村から出した。
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