第五十話 帰郷その十一
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「それでだが」
「妖神達のことか」
「それじゃ。既に結構な数を倒しているな」
「そうだな」
それは否定しない彼だった。
「既にな。倒してきているな」
「ただ倒しているだけではないな」
ここでこう言う博士だった。
「そうじゃな」
「そうだ。戦うことにより何かが起こっているな」
それは牧村も感じていることだった。それで博士に言うのであった。
「近付いていっているか」
「左様。聞いておると思うが」
博士の目の色が変わった。そこには剣呑なものさえあった。
その目でだ。牧村に対して述べるのであった。
「戦うことにより発散されるエネルギーじゃ」
「それが重要か」
「それがそのまま混沌を刺激しておるのじゃ」
そうだというのであった。
「混沌の中心までな」
「そしてその中にいる、か」
「混沌の神々、その中でも中心にいる者達をじゃ」
「出すことになるか」
「その神々を倒さねばじゃ」
牧村に対してさらに話すのであった。
「この戦いは終わらぬ」
「中心を滅ぼさずして、か」
「そういうことじゃ。それはわかるな」
「わかってきている」
これが牧村の今の返答だった。
「次第にな」
「ならばよい。それではじゃ」
「今の俺は戦うことか」
「戦い。そして勝つことじゃ」
「最後の最後までだな」
「うむ。それにじゃ」
そしてだった。博士はここでこうも言ってきたのであった。
「天使のことじゃが」
「髑髏天使か」
「この文献じゃがな」
今度は何かの動物の骨にだ。刻まれたかなり古代的な文字であった。それを牧村に見せてだ。博士は今度の話をするのであった。
「甲骨文字じゃ」
「昔の中国のだな」
「うむ、殷、つまり商のじゃ」
殷というのはその商王朝の王家の姓である。この王朝は正式には商というがそちらの呼び名もかなり広まって定着しているのである。
「その時代の文字じゃが」
「そこに書いてあったか」
「今の君の天使の階級」
「熾天使だな」
「そのさらに上があるようじゃ」
「まだあるのか」
「どうやらな」
そうだとだ。牧村に話すのであった。
「あるようなのじゃ」
「九の階級だけではなかったのか」
「わしもそう思っておった」
「しかしそれでもか」
「まだあったのじゃ」
こう牧村に話すのだった。
「これがのう」
「ではだ」
そこまで聞いてだ。牧村はあらためて博士に尋ねた。
「その階級は何だ」
「天使長じゃ」
それだというのだ。
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