ALO編
六十三話 Link start
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翌日。ジョギングを終え、洗濯物を洗濯機にブチ込んだ涼人は未だに起きてこない和人と直葉を起こすため、二階へと上がる。しかし部屋には居る直前で、突然「うわっ!?」という和人の驚いた声が聞こえたので一気に扉を開けた。ちなみにこの時点まで、涼人は色々あって昨日の事をすっかり忘れて居た事を、此処に追記しておく。
「なんだぁ!?どうし……た?」
「あ゛…………」
まぁ、当然と言えば当然なのだが、キリトは上体を起こして此方を見、固まっている。当然、その側には直葉がまだ寝て居る。
此処に来てようやく昨日の事を思い出した涼人は、右手を額に当てて深々と溜息を突く。それを見た和人の顔の焦りが増し、それを少し楽しむ。
「はぁ……そうだったな」
「いや……その……これは……」
「あぁ、安心しろ。別にお前が性欲持て余してついに妹を襲ったとか考えちゃいねぇから」
「持てあましてねぇ!つか、ついにって何だついにって……!」
側に寝て居る人間が居るのでヒソヒソ声だが、全力だと分かる圧の入った声で和人は突っ込む。無言で涼人が爆笑すると、和人は案の定ぶすっとした顔で眼を逸らし、不意に、あどけない顔で眠る直葉を見ると、ふっと笑った。
「……励まされた、か?」
「あぁ……『好きになった人の事、簡単にあきらめたらだめだよ』ってさ。今更言われちゃったよ」
「っは。成程、今更だ」
「はは……」
苦笑する和人だが、その顔には何処か、ふっきれた様な光があった。
「なぁ、りょう兄」
「ん?」
俯き気味に直葉を見つめ、下げていた目線を和人はすっと上げる。それは昨日とは全く違う、何かを決意した光が宿っているのを見て涼人は久々に、何処か満される感覚を味わった。
「俺は……アスナを……」
「『絶対に見つけだす』だろ?好きにしろ。まぁ、俺も俺が納得するまで、お前に付き合ってやるつもりだから、そこは了解しとけな」
「……ありがとう」
「なぁに、俺もあいつがどうなったかは気になるからな。気にすんな」
涼人がからからと笑い。それに影響されるように和人も自然と笑顔がこぼれる。そんな中、五月蠅さで気付いたのか、直葉がむにゃむにゃと言いながら起き上った。
「お、起きたな」
「おはようスグ。あ、早くしないと朝稽古の時間無くなるぞ?」
「ぅ……にゅう……う〜ん……あ、おはよ。お兄ちゃん……」
涼人が気付き、和人が声をかける。直葉はまだボーッとした様子で暫く首を左右にコテンッコテンッと揺らしながら和人の顔を眺めていたが、やがて何かをおかしく思ったのか部屋を左右に見渡し始める。右、左、右……
前にもこんな事があったような?と涼人はデジャヴを感じ取る。確かあれは……思い出しきる前に、直葉が全てを理解した。
「あっ、あのっ、あたしっ」
カアァァ
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