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SAO─戦士達の物語
ALO編
六十三話 Link start
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ウ。アイテム欄は確かに埋まるには埋まっていた。居たのだが……残念ながらそこにあったのは文字化けした意味不明な文字の羅列だけで、使えそうなものは一つもなかった。
そんな中……

「あ、待てよ……もしかしたら……!」
突然、同じようにアイテム欄を見ていたキリトが俯いて小さくつぶやいた。間髪いれずに画面に目を戻し、高速でアイテム欄をスクロールしていく……

「あってくれ……頼む……」
「おいおい、何を必死に……「あ……」あン?……あぁ」
かろうじて内容が分かる程度のスピードでスクロールされていた文字の羅列の中に、埋もれるようにして唯一形を保っているアイテムが有った。キリトの行動の意図が分からなかったリョウも、そのアイテムを見た途端に納得したように小さくつぶやく。
そこにあったのは、類敵方の、驚くほどに透き通った無色透明のクリスタル。しかしそれは唯の結晶型アイテムなどでは無い。まるで生きているかのように……否。それが確かに生きている事を示す中心の白い光が、でトクン、トクンと一定のリズムを持って躍動する事でそれを主張している。その名称は、《MHCP001》。
アイテムタブをクリックして、ウィンドウ上に出現させたそれを、キリトは掬いあげるように両の掌で包み込む。
そうして数秒、期待と不安、祈りと願望の光が入り混じった眼でそれを見つめた後、人差し指の先でそのクリスタルを二度トトンッ……と叩く。アイテムの、効力発現の合図だ。
そしてその瞬間……純白の光がキリトとリョウの目の前で──爆発するように輝いた。

「あっ……!?」
「うおっ!?」
キリトの掌の上で光り輝いていたクリスタルが、徐々にキリトの掌を離れていく……地上2メートル程度の場所で静止したそれは、その輝きを更に増していく。やがて草の一本、木の枝の先にある木の実すらも見て取れるほどの光がその場を包んだ頃になって、その光の中心に一つの影が見え始める。それはみるみるうちに形を変え、一つの人影となっていく……
長い黒髪が腰のあたりまで伸び、服装は純白のワンピース。手足は白く透き通った綺麗な色の肌をしていて、今は瞼を閉じているが、それでも十分に美しいと分かる容姿をした十歳くらいの少女……
光の中に生まれ、それ自体を纏うかのように地面にゆっくりと降り立った少女に、リョウは矢張り以前と同じ印象を抱いた。すなわち──妖精。と。

降り立った少女の瞼がゆっくりと開き、その深い黒をした瞳が、真正面からリョウとキリトを見つめる。と……すぐに、その顔がまるで天使のような微笑みを浮かべた。血縁的な力はないはずなのだが、その顔はどことなく、彼女が母と呼ぶ少女の笑顔をリョウの中で連想させた。

「おはよう……ユイ」
言いつつ、キリトははっとしたように自分の容姿を見る。今のキリトの容姿は、黒い服装、髪
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