ALO編
六十三話 Link start
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ァッ!とあっという間に茹でた蛸の様に真っ赤になった直葉はしばらく放心したようにベットの上で硬直していた物の……いきなりベットから飛び降り、逃げるように部屋の出口に駆けだした。
そしてこの時、ある三つの“不幸”が重なる。
一つ、涼人が部屋の唯一の出口である扉を塞ぐように立っていた事。
二つ、その涼人が直葉の突然の動きに対応し切れなかった事。
三つ、直葉が恥ずかしさの余り半ば顔を伏せ、前を良く見て居無かった事。
これらが重なった結果。
「ぬぉごぅ!?」「わきゃあ!!?」
ドカン、コケッ、ガシャンである。ドアの所に立っていた涼人に直葉が頭から突っ込み、衝撃で涼人は上半身を廊下に投げ出すように仰向けに倒れ込み、その上に直葉が覆いかぶさるようにうつ伏せに倒れ込んだ。
「だ、大丈夫か!?」
「いづづ……馬鹿たれ、前くらい確認しろ……ったく、頭とか打ってねぇだろうな?」
和人が慌てたように駆けより、悪態を突きつつも涼人は自分の胸の部分に頭を当てて倒れ込んでいる直葉を心配する。まぁ涼人の身体がクッションになっているためそこまで問題無いだろうとは思われたが。
と……
「……だ……だ……」
「……だ?」
おかしなことに、涼人は気が付いた。直葉の身体が、小刻みにプルプルと震えて……?
「ダイジョーーーーーーブーーーーーー!!!!」
「うおっ!?」
いきなり跳ね上げるように顔を上げた直葉に涼人はビビり、反射的に両腕で顔を庇おうとした物のそれより早く直葉が立ちあがり、ガチャバタァン!!と言う大音量を響かせながら自室へと飛び込んで行った。成程、大丈夫そうだ。
「あー、りょう兄、大丈夫か?」
「……多分な」
────
その後、リョウが結局一人で朝食の白米と納豆、味噌汁を食べて居ると、いきなりドタドタとうるさい音を立てながら誰かが二階に下りて来た。リビングの扉が開く。
「りょう兄!風呂場にバスタオルちゃんとあるよな!?」
「何時もんとこに三枚入れといたぞ」
「サンキュ!」
かなり焦った様子の和人が早口で聞いてきた質問に、手早く涼人が返すと和人は礼だけ言ってリビングの扉を閉じた。恐らくはシャワーだろう。
「やれやれ……」
そう言いつつ、残っていた味噌汁を胃袋に収めると、涼人は立ち上がり冷蔵庫へと向かう。
数分後、再び廊下を走る音が聞こえたと同時に、涼人はリビングの扉を開ける。丁度和人が靴を履き、外に出る所だった。
「カズ!」
「え、あ、りょう兄……」
軽く拭いただけなのか、まだ和人の髪は生乾きだ。まぁ別にどうでも良いので必要な物だけを渡す。
「ほれっ!」
「え、わっ……と」
「朝飯だけでも持ってけ!」
「……サンキュ!」
投げ渡したのは、ラップに包んだチ
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