第五十話 帰郷その七
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「確かな」
「林檎だからね」
「絶対に悪くないよね」
「そうだよね」
「やっぱりね」
これは彼等もわかっていることだった。そしてであった。
妖怪達はそのアップルパイとアップルティーを食べながらだ。林檎について話をはじめた。
「林檎ってあれだよね」
「一日一個食べてたらもう充分だったっけ」
「医者知らずっていったかな」
「そうだったよね」
「ドイツの言葉ですね」
ろく子が彼等の話に対して言う。
「それは」
「医者いらずですか」
「何か凄いよな」
「そうだよね」
「身体にいいってそこまでだったんだ」
「滅茶苦茶凄いよね」
「だよね」
口々にその林檎を讃える。そしてであった。
牧村もだ。その林檎を食べながら言うのであった。
「菓子もまた身体にいいか」
「果物ですから」
ろく子は牧村にも答える。
「悪くない筈がないですよ」
「糖分が気になってもだな」
「そのことですが」
「抑えてあるか」
「砂糖や蜂蜜は使わず」
そうしたものはというのである。
「林檎の甘さだけでいきました」
「林檎だけか」
「そうすると糖分の問題もかなりましになりますよ」
「考えているな」
「味の面からもそうしました」
栄養面からの考慮だけではないというのだ。
「味も。林檎本来の味を出したくて」
「それでだな」
「はい、あえて林檎だけです」
またそうだと話すろく子であった。
「それでなんですよ」
「美味いな。それだけにな」
「はい、ではまたですね」
「またもらう」
お代わりの話はこれで決まった。
「是非な」
「そうして下さると何よりです」
「菓子も身体にいいか」
「結果として何でもじゃないかな」
「そうだよね。身体にいいってね」
「食べ物は全部そうだよね」
ここでまたあれこれと話す妖怪達だった。
「バランスの悪い食べ過ぎこそが問題でね」
「結局何でもだよね」
「そうそう。食べ物は何でも」
「身体にいいんだよ」
「その通りだな」
牧村も妖怪達のその言葉に頷いた。
「結論としてはそうだな」
「だから生きられるんだしね」
「食べたら」
「何でも自然食ばかりがいいんじゃない」
牧村はこうも言った。
「他の食事もだな」
「インスタントだって結局そうだよね」
「そうそう。確かに食べ過ぎはよくないけれどね」
「それでもね」
妖怪達はさらに話していく。
「インスタントラーメンにお野菜を入れる」
「それだけで全然違うんだよね」
「料理は工夫」
「そういうこと」
「ですよね。この前なんですけれど」
ろく子が牧村に対して言ってきた。
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