第五十話 帰郷その六
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「菓子に使うには最高の林檎だ」
「はい、ですから私もです」
「それで作ったのだな」
「その通りです。それで次は」
「アップルティーか」
「それも飲んで下さい」
また言うろく子だった。
「どうぞ」
「そうさせてもらう。それではだ」
アップルパイを食べ終えてそのうえでアップルティーを受け取りそれを飲む。その濃厚な味を楽しみながらだ。彼はその味についても答えた。
「やはり紅玉だな」
「合格ですね」
「そういうことだ」
こう答える牧村だった。
「美味いな」
「御気に召されたようで何よりです」
ろく子は素直な笑顔で返す。知的な顔にその笑みが宿るのだった。
「こちらとしても作ったかいがあります」
「そういうことだな」
「それでだが」
また言う牧村だった。
「このアップルパイとアップルティーだが」
「まだ何かありますか」
「もう一つずつあるか」
牧村はアップルティーを飲み終えた。そうしてからだった。
彼はだ。お代わりを頼んだのであった。
「パイとティーは」
「はい、ありますよ」
ろく子の素直な笑顔はそのままだった。
「どうぞです」
「済まないな。それではな」
「御礼はいいです」
それはいいという彼女だった。そのうえでの言葉だった。
そしてだ。牧村にこうも話すのだった。
「お代わりこそが最大の御礼ですから」
「それがか」
「美味しいから頼んでくれるんですよね」
牧村に対して笑顔で問う。
「だからですよね」
「その通りになるな」
牧村の今の言葉は少し素直でなかった。
「結果としてな」
「これからも作りますので」
「今ここでか」
「はい、どんどん」
そうするというろく子であった。
「少し待って下さいね」
「そうか。まだあるのか」
「そうだよ。妖怪の食べ方ってね」
「そうじゃない」
ここで他の妖怪達も牧村に対して話してきた。
「もうどんどん次から次に食べる」
「そうしてるじゃない」
「だからだよ」
「今だってそうしてるんだよ」
「そういえばそうだったな」
牧村もだ。彼等のその言葉に頷いて述べた。
「成程な。それでか」
「それで牧村さんもだよ」
「これからも食べるよね」
「まだ食べるよね」
「勿論だ」
その通りだとだ。彼も返すのだった。
「美味い。これならだ」
「食べていってそうしてね」
「楽しんでいけばいいよ」
「それじゃあね」
「どんどんね」
勿論妖怪達にもアップルパイとアップルティーが来る。彼等はそれを次々と食べていく。牧村もその中に入っているのであった。
そしてだ。彼はまた話す。姿勢はやはり壁に背をもたれかけさせて立っている。その姿勢のままで飲み食いをしているのだった。
その中でだ。彼は言うので
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