ALO編
六十二話 行動開始
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ま……あり?」
リビングには誰もいなかった。部屋に行ったのだろうか?
「だとしても電気くれぇ消してけよな……」
ぶつぶつ言いつつ、涼人は上着を脱ぎ、取りあえず壁に掛けられているハンガーにかけると、風呂に向かった。
────
風呂からあがり、置いておいた着替えに着替えると、そこには和人と直葉の母であり、涼人の叔母である桐ヶ谷翠が居た。
彼女の方は、ソファに座ってテレビを見て居る。
「あ、叔母さん。お帰り」
「あら、りょう君上がったの?ただいま」
ぷらぷらとパックジュース片手に手を振る翠に涼人は微笑ましくなる。
「今日遅いんすね。残業?」
「そ、残業代出無いけどね」
そう言いつつもなんだかんだ楽しげに笑うその顔は、年の割にかなり若いその顔に良く似合っている。……というかこの人本当に今年四十なのかと偶に疑問になる。化粧かなり薄めであるのにもかかわらず目立った小じわは殆ど分からないし、直葉に遺伝したのだろう勝ち気そうな瞳と後ろで無造作に束ねた髪は、どう見ても三十前半くらいに見える。
コンピュータ系雑誌社の編集と言う仕事柄色々と活発に動きまわっているのは知っているが……成程、働く女性は美しいと言うのは、あながち間違いではないのかもしれない。
「お風呂、叔母さん最後っすから」
「はいは〜い」
「んじゃ」
「あ、りょう君」
牛乳を飲み干し、冷蔵庫から更に一本先程買って来たボトル緑茶を取り出してリビングから出ようとすると不意に翠から声が掛けられた。
「ん、なんすか?」
「その、最近和人と直葉……どう?」
どう?と言うのは質問としては曖昧な部位に入る言葉だと思われたが、それだけで涼人は翠が聞いたい事の大体を察し、答える。
「良い感じっすよ。今日なんか朝、試合してましたから」
「剣道の?」
「です」
「そう……和人が……」
涼人の言葉に、翠はクスリと笑うと、勢いよく立ちあがった。
「さてと!私も早くお風呂入って来ようかしらね!」
「ですな」
最後に廊下で分かれる直前、翠は涼人に「ありがとうね。りょう君」といって、脱衣所に姿を消した。
「何もしてないんだけどなぁ……」
そんな事を言いつつ、涼人はペットボトル片手に階段を上がって行く。
涼人部屋には、小さいながら冷蔵庫があるので、自室に飲み物やなんやを置いておくのには結構重宝していた。と……
「オイオイ……だらしなさすぎやしねぇかぁ?」
自室への途中、和人の部屋の扉が開いたままになっているのを見つけて、涼人は呆れたように溜息を突いた。
「扉ぐれぇ閉じて寝ろよ……っん?」
電気もついて居ないし、寝て居るのだろうと扉を閉じようとした時、部屋の中の和人のベットの上に、妙な点がある事に気が付いた。人
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