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SAO─戦士達の物語
ALO編
六十二話 行動開始
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ぎた感は有るけどな……』
 しかしだからと言って、須郷の後を追う必要は本来なら無かった。病室の事だけでこれらの事を推察する事は出来たからだ。それでも涼人があの時須郷を追ったのは、アスナでは無くそれ以外の人々、未だ眼のさめない300人の人々の行方が気になったから。
 アスナの他に300人もの人々が目覚めない事については、アスナ一人だけが目覚めないのでは不自然な事を考えたカムフラージュだと考えるのが一番自然なのだが……それならば、100人程度でも十分なのではないかと言うのが涼人の疑問だった。いやむしろ、懸念と言うべきか。
 確かに須郷は科学者だ。しかしその分野はフルダイブ研究……そんな男の前に転がっている何時でも脳に訴えかける力の強いナーヴギアを使って脳をいじくりまわせる300人の人間を、はたしてあの男がほおっておくだろうか?

『嫌な予勘がすんだよな……』
 もしかしたら、もしかすると……
涼人自身は自分で気付いていなかったが、彼は何時に無く本気に……必死になっていた。

────

 山手線御徒町駅から徒歩でいくらか歩き、少しゴチャっとした感じの裏通りに、さいころを模した看板を掲げたその店はあった。

《Dicey Caf?(ダイシー・カフェ)》

 カランカラン、と言う涼しげな音と共に扉を開き、中へと入る。客は居ないようだ。

「いらっしゃい」
「よっ。なんだぁ?お客いねぇじゃん」
「うるせぇ。夜はこれからだろうが」
「さいで」
 軽く言葉を交わし、奥へと進む。
黒っぽく光るテーブル四つに、カウンター席と言う決して大きくは無い店だが、その狭さのまた心地よい。
エギルの前のカウンターに座り、メニューを見る。

「何にする?コーヒーか?」
「嫌味かテメェ。んー、ココアで」
「相変わらずの甘党なんだな」
「まぁな」
 言いつつカウンターの反対側を向く店主の後ろ姿を一瞥しつつ、もう一度店の中を見渡す。店内はしっかりと掃除されているし、一度来た限り味も悪く無い。
昼はカフェ、夜はバーになると言う話だし、なんだかんだでエギルが向こうに居た間奥さんの細うでによって二年もの間守られてきた店だという話だから、地理的にも決して悪い訳ではないのだろう(無論奥さんの努力の賜物だろうが)。
そんな事を思っている間に、店主がココアを此方に差し出して来た。

「お待ちどうさん」
「おっ、どうも。さて……で?あの写真、何だよ?」
「その前に……これ、知ってるか?」
 言いつつ、エギルは四角いプラスチックパッケージを此方に差し出して来た。表面に印刷されたグラフィックを見る限り、明らかにゲームソフトだ。ハードは二つのリングを象ったロゴマーク。名前は……《AmuSphere》

「《アミュスフィア》。ナーヴの後継機か…
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