第四十九話 停戦その十八
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「君達は次の相手と戦えるんだ」
「次か」
「次の神か」
「そうして近付いていっているんだよ」
神はその青い雨を滴らせながら言っていく。
「君達は少しずつ。中心にね」
「中心か」
「そこには」
「混沌の中心」
今度の言葉は一つだった。
「そこにね」
「その中心にもいるのだったな」
「神が」
「いるよ。二柱ね」
実際にいるとだ。神は話すのだった。
「その彼等に会えるかな」
「会う」
「必ずだ」
二人はその雨をかわしながら言う。雨は二人が何処に逃れようが追って来る感じだった。だがその降らしている者の姿は見えない。
その静かな攻防の中でだ。また言う神だった。
「まあそこまでいくのが大変だけれど」
「まだ神はいるか」
「混沌の中心まで至るまでも」
「うん、いるよ」
実際にそうだと述べる目玉だった。
「まあそれも楽しみにしておいてね」
「楽しみにはしていない」
「生憎な」
二人はここでも雨をかわす。今は防戦に徹している彼等だった。
「しかしだ」
「それでも言っておこう」
二人はまた神に言葉を返した。
「俺達はだ」
「確実に貴様等を封じる」
「最後の最後までな」
「そうする」
「いいね。じゃあその為にも」
また声がしてきた。
「僕を倒すんだね」
「そうだな。そうさせてもらうか」
「いよいよな」
だが、だった。今の二人は防戦するしかなかった。相手が見えないからだ。様々な元素が渾然と混ざり合い衝突するその中でだ。彼等は今は雨をかわしていた。
しかしだった。ここでだ。目玉が二人に言ってきたのだった。
「ねえ」
「何だ」
「何があった」
「ここはさ」
こう目玉が言ってきたのである。
「考えがあるんだけれど」
「考えか」
「何だ、それは」
「相手の姿が見えないとどうしようもないよね」
目玉が言うことはこのことだった。
「この戦いはね」
「それはその通りだ」
「気配すらしない」
二人もこう返す。
「何処にいるのかさえわかれば」
「それで勝負はつくのだがな」
「いや、見つける必要はないよ」
目玉の今度の言葉はこれだった。
「それはね」
「ないというのか」
「そうなのか」
「うん、ないよ」
目玉の言葉は明るいものだった。
「見つけようとするからかえって駄目なんだよ」
「見つけようとするから」
「そうだというのか」
「そうだよ。だから」
目玉はまた言う。
「ここはね。それは狙わないで」
「一気にか」
「そうだよ。どうかな」
これが目玉の言葉だった。
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